読書(あ~さ)

2024年3月 7日 (木)

安壇美緒著 ”ラブカは静かに弓を持つ” ☆

 

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武器はチェロ。
潜入先は音楽教室。
傷を抱えた美しき潜入調査員の孤独な闘いが今、始まる。
『金木犀とメテオラ』で注目の新鋭が、想像を超えた感動へ読者を誘う、心震える“スパイ×音楽”小説!

少年時代、チェロ教室の帰りにある事件に遭遇し、以来、深海の悪夢に苛まれながら生きてきた橘。
ある日、上司の塩坪から呼び出され、音楽教室への潜入調査を命じられる。
目的は著作権法の演奏権を侵害している証拠をつかむこと。
橘は身分を偽り、チェロ講師・浅葉のもとに通い始める。
師と仲間との出会いが、奏でる歓びが、橘の凍っていた心を溶かしだすが、法廷に立つ時間が迫り……


本作は、ヤマハ音楽教室などでの、著作権料を巡る争いを題材にしてはと、
担当編集者の提案で書かれた小説とのことですが、
あまりに、無理なく無駄なく組み立てられているので、そのことに驚きました。

楽器全滅のわたしですが、
そんな音楽音痴の人間をも、ぐいぐいと引き込んでいきます、、、

仕事のためとはいえ、
嘘を重ねてゆく主人公を、、、
動揺しながら、、、
一生懸命応援してしまうのでした、、、


★★★★☆

 

 

 

 

 

2024年2月16日 (金)

一穂ミチ著 ”スモールワールズ” ☆


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2022年本屋大賞第3位、
第43回吉川英治文学新人賞受賞、

共感と絶賛の声をあつめた宝物のような1冊。

夫婦、親子、姉弟、先輩と後輩、知り合うはずのなかった他人
ーー書下ろし掌編を加えた、七つの「小さな世界」。生きてゆくなかで抱える小さな喜び、
もどかしさ、苛立ち、諦めや希望を丹念に掬い集めて紡がれた物語が、
読む者の心の揺らぎにも静かに寄り添ってゆく。
ままならない、けれど愛おしい、「小さな世界」たち。



7つの短編集のうち、心を揺り動かされるお話は人それぞれだと思いますが、

わたしは、まず、「魔王の帰還」
魔王のお姉さんにまた会いたい!、
一穂さん、続編をお願いします!、

そして、「愛を適量」
中年教師の父親に肌の手入れを説く娘、トランスジェンダーで、FtMの佳澄
  ・FtM
Female to Male)とは、トランスジェンダーの中でも
  「女性としての性を割り当てられたものの、男性として生きることを望む人」のこと、、、

大いに同意した一文を本文より以下に転記します、




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2024年2月 8日 (木)

今野敏著 ”隠蔽捜査 転送、宰領、自覚” ★


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転迷―隠蔽捜査4―
大森署署長・竜崎伸也の身辺は、にわかに慌しくなった。
外務省職員の他殺体が近隣署管内で見つかり、担当区域では悪質なひき逃げ事件が発生したのだ。
さらには海外で娘の恋人の安否が気遣われる航空事故が起き、覚醒剤捜査をめぐって、
厚労省の麻薬取締官が怒鳴り込んでくる。次々と襲いかかる難題と試練
――闘う警察官僚(キャリア)竜崎は持ち前の頭脳と決断力を武器に、敢然と立ち向かう。 

 
宰領―隠蔽捜査5―
衆議院議員が行方不明になっている。伊丹刑事部長にそう告げられた。
牛丸真造は与党の実力者である。
やがて、大森署管内で運転手の他殺体が発見され、牛丸を誘拐したと警察に入電が。
発信地が神奈川県内という理由で、警視庁・神奈川県警の合同捜査が決定。
指揮を命じられたのは一介の署長に過ぎぬ竜崎伸也だった。反目する二組織、難航する筋読み。
解決の成否は竜崎に委ねられた!


自覚―隠蔽捜査5.5―
畠山警視は実技を伴うスカイマーシャルの訓練中、壁に直面する。
彼女は共に難事件を乗り越えた竜崎に助言を求めた。
関本刑事課長は部下戸高の発砲をめぐり苦悩した。そこで竜崎の発した一言とは。
貝沼副署長、久米地域課長、伊丹刑事部長。彼らが危機の際に頼りにするのは、
信念の警察官僚(キャリア)、大森署署長竜崎伸也だった――。
七人の警察官の視点で描く最強スピン・オフ短篇集。



竜崎署長に会いたくて、
このシリーズが好きすぎて、、、





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2024年1月24日 (水)

青山文平著 ”半席” ☆

 

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内容
分別ある侍たちが、なぜ武家の一線を越えたのか。直木賞受賞後、待望の第一作!
若き徒目付の片岡直人に振られたのは、腑に落ちぬ事件にひそむ「真の動機」を
探り当てることだった。精勤していた老年の侍がなぜ刃傷沙汰を起こしたのか。
歴とした家筋の侍が堪えきれなかった積年の思いとは。
語るに語れぬ胸奥の鬱屈を直人が見抜くとき、男たちの「人生始末」が鮮明に照らし出される。
本格武家小説の名品六篇。


”鬼はもとより” を読んで、
すっかり著者の虜と化したおばさんが、期待を込めて手にした一冊でした、、、

★★★★☆

以下に心に残った一文を本文より転記します、



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2023年11月25日 (土)

伊集院静著 ”いねむり先生” ☆

 

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内容紹介
色川武大との交流を描く著者自伝的小説の傑作
女優だった妻の死後、アルコール依存、ギャンブルに溺れ、
壊れてしまったボクは「いねむり先生」こと色川武大に出会う。
“大きな存在”との交流の中で、再生を果たす。



ギャンブル、アル中、分裂症、、、
いろいろな心の闇を抱えたひとの、魂の結びつきは、とても、柔らかで、

礼儀正しく、それでいて、タイトで、やさしく、温かい、、、
その加減が、とても居心地がよくて、
なんとなく読み始めて、次第に引き込まれていってしまう上質な本。


釣り宿の主人に色紙をねだられて、見ないで下さいと言いながら、
こっそりと書くくだりなど、なんかすっご~く、いいんですもん、、、

お二人の図抜けた観察眼に感服するとともに、
驚異的な記憶力には、脱帽するばかり、、、
こうでなくては、ギャンブラーは無理なんだろうな、、、とも、、、



エンディングには思わず絶句しました。
これは、計算したものなのか、、、だとしても、

まったく作為を感じさせない、意表をつく見事なお手並み。

それにしても、、、

阿佐田哲也(色川武大)って、そんなに素敵な人だったの、、、
”離婚” しか読んだことなかったけど、次々と読んで、
このチャーミングなおじさんに、また、会いたくなりました、、、



★★★★☆


文中の、絵描きのKさんと、歌手Iさんは、、、








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2023年11月 5日 (日)

上橋 菜穂子著 ”香君” ☆


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内容
遥か昔、神郷からもたらされたという奇跡の稲、オアレ稲。
ウマール人はこの稲をもちいて帝国を作り上げた。
この奇跡の稲をもたらし、香りで万象を知るという活神〈香君〉の庇護のもと、
帝国は発展を続けてきたが、あるとき、オアレ稲に虫害が発生してしまう。
時を同じくして、ひとりの少女が帝都にやってきた。
人並外れた嗅覚をもつ少女アイシャは、やがて、
オアレ稲に秘められた謎と向き合っていくことになる。

「飢えの雲、天を覆い、地は枯れ果て、人の口に入るものなし」――
かつて皇祖が口にしたというその言葉が現実のものとなり、次々と災いの連鎖が起きていくなかで、
アイシャは、仲間たちとともに、必死に飢餓を回避しようとするのだが……。

オアレ稲の呼び声、それに応えて飛来するもの。
異郷から風が吹くとき、アイシャたちの運命は大きく動きはじめる。




奇跡のオアレ麦が作り上げた、一大帝国は、
やがて、虫害によって崩壊の危機にさらされる。
環境因子で激変してゆく、作物、虫たち、、
その謎を秘めて壮大な物語が展開していく、、、

主食をたった一つに、しかもそれを、他国に頼り切ることの恐ろしさ、
これは、数少ない生産国の小麦に依存している、
今の世界の国々が抱えるリスクをまさに映し出しているのではと、、、


★★★★☆







 

2023年9月25日 (月)

井川意高著 ”熔ける” ★


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内容
大王製紙社長の長男として、幼少時代は1200坪の屋敷で過ごし、東大法学部に現役合格。
27歳で赤字子会社を立て直し、42歳で本社社長就任。順調な経営、華麗なる交遊……
すべてを手にしていたはずの男はなぜ〝カネの沼〟にハマり込んだのか?
創業家三代目転落の記。そして、刑期を終えたいま、何を思うのか――。


YouTubeの政経電論TVで、佐藤尊徳氏とのトークが面白くて、
俄然、井川氏に興味を覚えて、図書館に予約を入れました。
文庫も出ていたので、比較的すぐ手に取ることができました。

超リッチ&エリートの、破天荒な暮らしぶりを覗けて、楽しかった!、面白かった!

まるで瞬間湯沸かし器のように、すぐに切れて矢鱈と暴力的な父親が、
彼が重症急性アルコール中毒で友人たちに運ばれてきたとき、
小柄なその父親が彼を背負ってマンションの自室まで運び上げた話とか、
興味深いエピソードがてんこ盛り!、

ただ、ノンフィクション作家、佐野眞一氏によるデタラメな報道のくだりには、
この作家の舞台裏ってこんなものなのかと、がっかりしてしまいました、、、
ほんとうのところは分かりませんが、
夢中になって拝読した、この著者による、”あんぽん” 孫正義伝 は、どうだったのだろう、と、、、

宮沢りえとか、芸能人の小話は、
もともとあまり興味がないので、私的にはなくてもよかったなと、、、


以下に、私もこれはチョット気を付けようと思った一文を本文より転記します、、、

 

 

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2023年9月17日 (日)

青山文平著 ”鬼はもとより” ★


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内容
どの藩の経済も傾いてきた寛延三年、奥脇抄一郎は藩札掛となり藩札の仕組みに開眼。
しかし藩札の神様といわれた上司亡き後、飢饉が襲う。
上層部の実体金に合わない多額の藩札刷り増し要求を拒否し、藩札の原版を抱え脱藩する。
江戸で、表向きは万年青売りの浪人、実はフリーの藩札コンサルタントとなった。
教えを乞う各藩との仲介は三百石の旗本・深井藤兵衛。次第に藩経済そのものを、
藩札により立て直す方策を考え始めた矢先、最貧小藩からの依頼が。


朝日新聞の著者の寄稿文 を読んで、大いに感銘を受け手にしたこの一冊は、
まさに、低迷するこの国の経済復興と重なる筋書きで、
最初から最後まで、
奥脇抄一郎の男ぶりから、目が離せなくなり、一気読み、
そして、最後は、、、滂沱の涙、、、

★★★★★


以下に心に残った一文を本書より転記します、





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2023年8月11日 (金)

小川哲著 ”地図と拳” ★


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【 第168回直木賞受賞作】
【第13回山田風太郎賞受賞作】

「君は満洲という白紙の地図に、夢を書きこむ」
日本からの密偵に帯同し、通訳として満洲に渡った細川。
ロシアの鉄道網拡大のために派遣された神父クラスニコフ。
叔父にだまされ不毛の土地へと移住した孫悟空。
地図に描かれた存在しない島を探し、海を渡った須野……。
奉天の東にある〈李家鎮〉へと呼び寄せられた男たち。
「燃える土」をめぐり、殺戮の半世紀を生きる。


ひとつの都市が現われ、そして消えた。
日露戦争前夜から第2次大戦までの半世紀、満洲の名もない都市で繰り広げられる知略と殺戮。
日本SF界の新星が放つ、歴史×空想小説。



畳み込むように登場人物が次々と増えてゆく導入部に、
初老のおばさんは、これはダメかも、、、と、あきらめモードに入りかけたときには、、、
舞台は満州、壮大な歴史小説に、完全に引き込まれておりました、、、

混迷を極める、今、この時に、
細川や明男のようなリーダーがいてくれたならと、、、

巻末の長大な参考文献の数が、この物語のリアルな深淵を物語っているように思えて、、、
読み終えた本をしばらく、茫然と眺めておりました、、、

★★★★★ 



心に残った一文を、以下に本文より転記します、





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2023年7月22日 (土)

呉 勝浩著 ”爆弾” ☆


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このミステリーがすごい!2023年版 国内編第1位!
ミステリが読みたい!2023年版 国内編第1位!

内容
東京、炎上。正義は、守れるのか。
些細な傷害事件で、とぼけた見た目の中年男が野方署に連行された。
たかが酔っ払いと見くびる警察だが、男は取調べの最中「十時に秋葉原で爆発がある」と予言する。
直後、秋葉原の廃ビルが爆発。まさか、この男“本物”か。さらに男はあっけらかんと告げる。
「ここから三度、次は一時間後に爆発します」
警察は爆発を止めることができるのか。

爆弾魔の悪意に戦慄する、ノンストップ・ミステリー。



外気温34度、36度、、、
わたしひとりの、エアコンを入れた部屋で、、、、
とんでもない世界が展開し始める、、、
ひりつくような崖っぷちの心理戦から目が離せなくなる、、、


★★★★☆








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