掘 和久著 “死にとうない ―― 仙厓和尚伝” ☆
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内容(「BOOK」データベースより)
誰も、わしの過去を知らない。わしのたどってきた茨の道を知らない。
あまりにも恥深き半生だったゆえに、
わしも、おのれの過去をことさら口に出すことはしなかった。
病床に臥した仙厓の眼裏に、七十年近い昔の乞食旅をつづける雲水姿が浮かぶ。
「大悟透徹した禅師」「無欲恬淡の風雅人」「童心をもつ洒脱飄逸の大和尚」などと
評される仙厓だが、若き日に投身自殺まで図った苦悩の修行と悟りを重ね、
たどりついた境地―八十八歳にして、新しい発見をする。
日々、新しい世界がひらけてくる。死にとうないのう…。
名僧仙厓義梵の漂泊の生涯を描く歴史長篇小説。
「海賊とよばれた男」で、仙厓義梵の大ファンになり、
展覧会に行く前にと、手にとった一冊。
著者を存じ上げなかったので、その歩んだ生涯が大体分かればと、あまり期待もせずに、、、
それが大きく裏切られ、読みふけってしまいました。
見事な筆致、まるで、たった今ここに居たかのごとく活き活きとした描写力、、、
仙厓が、とある豪商の新築祝いに送った賛に、
「ぐるりと 家を取り巻く 貧乏神」
「七福人は 外に出られず」
★★★★☆
以下に本文より、、、
(誰も知らない。誰も信じない。
このわしが、まぎれもなく四十歳まで煩悩地獄を狂いさまよったことを。
わしの前半生を知る者はもはや、この世に誰もいなくなっている)
仙厓はかすかに首を振り、深い吐息をついた。
(なにが大悟透徹なものか。贔屓筋は、この仙厓を、生まれながらの聖者、
幼少より怒りも悲しみも超越した天与の禅師、滑稽洒脱な虚白院の大和尚、
などと勝手に講釈しておるようじゃが、そんな化け物のような人間がこの世にいてたまるものか)
2013年 仙厓と禅の世界展は、こちらから、、、
®2013年10月にアップしたリユース記事です
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