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2024年7月 7日 (日)

林真理子著 ”愉楽にて” ☆


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内容
美と恋に生きる名家の男たちは、

書物を愛でるように、女と情を交わし、
自由になるために、女から愛を求める。

東京・京都・シンガポールを舞台に、家柄にも資産にも恵まれた50代の男たちが、
甘美な情事を重ねていく、その果てに――
日経朝刊連載時から話題沸騰! 絢爛たる贅沢な官能美の世界を描く傑作長編


大手医薬品メーカー九代目、久坂隆之は53歳。
副会長という役職と途方もない額の資産を与えられた素性正しい大金持ちで、
シンガポールと東京を行き来し、偏愛する古今東西の書物を愛でるように女と情事を重ねる。
スタンフォード留学中に知り合った友人、田口靖彦は老舗製糖会社の三男。
子会社社長という飼い殺しの身が、急逝した妻の莫大な遺産により一変。
家の軛から自由になるために、女からの愛を求め、京都で運命の出逢いを果たす。
時代の波に流されず、優雅で退嬰的な人生をたゆたう男たちが辿り着いたのは――


著者がインタビューで、この作品にどれだけ投資したことか、
そして日経連載時の大評判とは打って変わって、
本の売れ行きは良くなくて、、、やっぱり、売れないと!、話題にならないと!、と
仰っていらしたのに興味をひかれ、市民図書の本棚からお借りして参りました、、、

いきなりの濃厚な性描写に続く、
一生垣間見ることのできない世界の描写に息を呑み、、、

そして、なにより、
最も興味を覚えた一文を以下に本文より転記します、




 

 

 


日本語や日本人の存在が、 将来消えるんじゃないか
 ・・・
たぶん百年後、日本語も日本も無くなるよ、、、
そのけだるく、何もかもに飽いたような姿は、今の日本経済や社会そのもの



久坂がよく午後のひとときを過ごすこの社交クラブは、何度か改築されているものの、
1900年代のコロニアル調の雰囲気を漂わせている。入会資格の厳しさでも知られ、
二人の推薦人の他に、世界で二百位以内に入る大学を卒業していること、という条件があった。


京都大学の順位は年ごとに下がっているものの、スタンフォードの威光は変わらない。
久坂はここで、よくスタンフォードの同級生たちとウイスキーグラスを合わせる。
白人もいるが、ほとんどが中国人だ。

 

シンガポールの上層部を形作る中国人の、高学歴ぶりといったら、そらおそろしいほどで、
たいていが英国のオックスフォードかケンブリッジ、そうでなかったらアメリカの最高クラスだ。
久坂はもはや、自国の行き先については諦めているといっていい。若者のレベルが違いすぎるのだ。
アジアの国々と比べてみるとよくわかる。語学を完璧に身につけ、世界に向けて起業しようと
している中国や韓国、インドの若者たちを身近に見るにつけ、嘆息せずに入られない。
しかし嘆息するだけだ。それについて案じたり、議論したりすることはなかった。
このクラブでの友人である、ある大企業のシンガポール支店長は言った。

「日本政府はもっと金を出すべきなんだよ。アメリカがIT企業を育てたように」
「アメリカがITを育てた事なんかないよ」

久坂は反論する。
「ITの奴らが勝手に育っていったんだよ。まるでキノコみたいに、むくむくとさ。
 国なんかの手を借りていない、だから彼らは強いんだよ」

ただしキノコはいつか枯れるときが来るだろうさ、、、という言葉は発しない。
悲観主義というレッテルを張られるのが嫌だったからだ。

 

 

 

 

 

 

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