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2024年5月15日 (水)

藤谷 治著 ”船に乗れ! (1~3)" ☆


Fune_1_3


〈 内容 〉  2008/10
高校の音楽科に通う主人公・津島サトルと個性豊かな仲間たち。

彼らが過ごす音楽漬けの日々に、青春時代のきらめきと切なさを色濃く映し出した、
本格青春小説三部作。爽快な第一楽章。

青春の「爽やかさ」と人生の「苦み」をともに描ききった、
新たな「青春小説のスタンダード」として話題沸騰です。


楽器全滅、しかも音痴のわたしには
縁遠い、音楽のエリートたちの世界、
しかも、最も苦手とする、哲学、ニーチェとかがそこここに、、、
それなのに、、、
夢中になってあっという間の三巻でした 

余りのリアルさに、これは、自伝ではなかろうかと、、、
ググってみると、、、


 




小説丸より、、、

人はどうやって生きるかということがこの小説の主軸。
最初から、哲学のことしか頭になかった。

 第1巻の発売時から、書店員や読書家の間で話題となっていた青春小説『船に乗れ!』。
高校の音楽科を舞台に、ひとりの少年の3年間を1冊ごとに追った3部作が、ついに完結した。
しかも、圧倒的な感動をともなう傑作となって。自身も高校では音楽科に通っていたという
藤谷治さんにとって、本書の執筆には特別な思いがあったようだ。


人に言いたくないような恥ずかしい思いを
 音楽一家のもとで育ち、チェロの腕前には自信のあった"僕"、津島サトル。
しかし東京芸術大学附属高校の受験に失敗し、新生学園大学付属高校の音楽科に進学。
普通科は女子のみ、音楽科も男子はたったの6人。挫折からのスタートを切ったサトルが、
仲間たちと切磋琢磨して音楽家を目指す青春音楽小説──と思いきや、第2巻の後半で、
音楽とは関係のないところで、とんでもない事件が相次ぐ。
藤谷さんにとって一番長い小説となった本作の出発点はどこにあったのか。

 

「青春小説を書いてくれという依頼があったんです。
今まで、自分の会社員時代や子供の頃を書いたことはあったけれど、実は高校生時代のことは、
どうしても触れたくなかった。実は思い出すと、軽いトラウマを感じていたんですよね」

 

 藤谷さん自身、音楽一家のもとで育ち、チェロを弾き、芸高の受験に失敗したという。
祖父のことを"おじいさま"と呼んでいたというところまで、サトルと同じだった。


続きは、こちらから、、、



 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


以下に本文より心に残った一文を転記します

 

「レガートだ、そこはレガート! レガートってのはペダルを踏むって意味じゃねえぞ。
指を離すなってことだ馬鹿野郎。ハイドンのソナタでペダルに足を触れるんじゃねえや。
ハイドンの時代にはなかったんだ、ンなもなあ。そう・・・そう・・・そうじゃない! 
さっきから言ってんじゃねえか。エフ、デー、フィスでフレーズが終わってからツェーで
メゾピアノだ。そう書いてあるだろう!、譜面を読みなさい譜面を!

 

音楽家とか楽器演奏者とかいう存在に母は、
それが何か高級な人間であるかのような幻想を抱くことはない。
にもかかわらず、母は音楽を腹の底から愛している。母はジャイアンツも愛しているようだ。
そして彼女にとって、音楽とジャイアンツはひとつの場所から聞こえてくる。それはラジオだ。
 ・・・
 ラジオと、ごくたまに行く知人のピアノやヴァイオリンのコンサート、それに僕が1人で聴いている
レコードを漏れ聴いて、母は音楽を楽しんだ。そしてトイレを洗ったり、買ってきたものを冷蔵庫に
詰めたりしながら、モーツァルトのクラリネット協奏曲や、シューベルトの「鱒」といった
お気に入りのメロディーを口ずさんでいた。調子っぱずれで、すっとんきょうな高い声だったが、
あんなに楽しそうにクラシックを鼻歌で歌う人を、僕はほかに知らない。
「たん、たーんら、らんらん、らーら。らーら、らーりらーりあー」、、、、
それは思わずそばにいるこっちまで吹き出してしまうような機嫌の良さ、楽しさだった。

今の僕なら素直に言うことができる。それでこそ音楽と言うものなんだと。意味もなく、
誰かの為でもなく、ただ気分が良くなるために鳴らしてみせる、様々な音、それが音楽だ。
そもそもそうやって、人類は音楽を作り出したのだと思う。威圧のために大きな音を立てたり、
わざと人を不愉快にさせるためのノイズもまた、音楽の起源に含まれるかもしれないが、
でもやっぱり音楽は何よりもまず心地よいものだ。それ以外の何物でもない。


第二巻
そして、結局、ルーブルにある美術の中で、最も美しいのは、
「サモトラケのニケ」だ、という結論に達した。

3
1人の「偉大な」音楽家の下には、数十人の「波外れた」音楽家がいる。
そして「波外れた」音楽家の人には、数千人の「優秀な」音楽家がいて、
さらにその下に数万人の「技術を習得した」音楽家がいるのだ。
毎日音楽コンクールで1位になる人は1人だけだが、予選で落ちてしまう人は何十人もいる。
彼らだって1位になった人と全く同様、それまでの人生をひたすら音楽に捧げてきたはずだ。
それが今では、音楽家でもない、しかし音楽と無縁でもない、楽器輸入の会社に就職して、
高校生を相手にパンフレットを配っている。

 

「バッハだってヘンデルだってハイドンだって、昔の音楽家はみんな、貴族の子飼いだ」おじいさまは
言った。「この『ブランデンブルク』だって、カンタータだって受難曲だって、みんな頼まれ仕事だ。
出来高払いの商売なんだ、作曲家なんてものは」
「地位が低かったんでしょ」おばあさまが言った。「召使いや料理人と同じ扱いだったのよね」
「食うために腕を上げていった芸術がお父ちゃんが1番好きだ。モーツァルトはどうして、
シンフォニーでも弦楽四重奏曲でも、ピアノコンチェルトでもオペラでも、
山のように名曲を残していると思う。良い曲を仕上げなきゃ、次の注文が来なかったからさ。
精一杯良いものを書かなきゃならなかったんだ、生活のために。

、、、、

芸術は芸術家が気ままに作ったもんじゃないんだ。家賃のために、お上の機嫌を損ねないために、
次の仕事に困らないように、切羽詰まって作られたんだ。しかし、そんな苦労は、
ほら、この音楽からは、これっぽっちも聞こえてきやしねえ。女にふられて悔しいとか、
俺のことを認めろとか、てめえの気分を宣伝するために、芸術を利用してねえんだ。

 

 

 

 

 

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