青山文平著 ”鬼はもとより” ★
内容
どの藩の経済も傾いてきた寛延三年、奥脇抄一郎は藩札掛となり藩札の仕組みに開眼。
しかし藩札の神様といわれた上司亡き後、飢饉が襲う。
上層部の実体金に合わない多額の藩札刷り増し要求を拒否し、藩札の原版を抱え脱藩する。
江戸で、表向きは万年青売りの浪人、実はフリーの藩札コンサルタントとなった。
教えを乞う各藩との仲介は三百石の旗本・深井藤兵衛。次第に藩経済そのものを、
藩札により立て直す方策を考え始めた矢先、最貧小藩からの依頼が。
朝日新聞の著者の寄稿文 を読んで、大いに感銘を受け手にしたこの一冊は、
まさに、低迷するこの国の経済復興と重なる筋書きで、
最初から最後まで、
奥脇抄一郎の男ぶりから、目が離せなくなり、一気読み、
そして、最後は、、、滂沱の涙、、、
★★★★★
以下に心に残った一文を本書より転記します、
武家のほうは、自らは何も作らずに、ただ威張り腐っているだけで、その裏付けは何もない。
国を担っているのは百姓で、武家はただ間借りをしているだけなのが、はっきりと見えるのだ。
情けないものだぞ、抄一郎。自分たちが、ただの穀潰しだと突きつけられるのは。
ああして国を失ってみると、もう一度禄を得ようなどとはさらさら思わん。
もう、まっぴらだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
次はネタバレになりますので、スペースをあけます、、、
「自分には無縁と諦めていた、
友と心底から楽しく語らう夜を最後に頂戴したこと、鬼籍においても決して忘れません」
歪む文字を幾度も目で追いながら、佐和をどうするのだと思った。
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