寺地はるな著 ”川のほとに立つ者は” ★
内容
カフェの若き店長・原田清瀬は、
ある日、恋人の松木が怪我をして意識が戻らないと病院から連絡を受ける。
松木の部屋を訪れた清瀬は、彼が隠していたノートを見つけたことで、
恋人が自分に隠していた秘密を少しずつ知ることに――。
「当たり前」に埋もれた声を丁寧に紡ぎ、他者と交わる痛みとその先の希望を描いた物語。
謎解きに導かれて、ページをめくるうち、
ネタバレになってしまうので、書けないけれど、
名前だけは、一応知ってはいたけれど、
その詳細に、打ちのめされました、、、
一人でも、多くの方に手に取ってほしい一冊。
★★★★★
以下に、心に残った一文を本文より転記します、
「本当の自分とか、そんな確固たるもん、誰も持ってないもん。
良い部分と悪い部分が、その時のコンディションによって濃くなったり、薄くなったりするだけで、
みんな眠い時はいい加減になったり、お腹空いてる時は、イライラしたりするやん。
諸々満たされているときは、他人に寛容になれたり、
何かに夢中になっているときは、他人に無関心になったり。
例えば私は誠実な人になりたいと思うけど、
でも、自分の心のままに、思うままに生きていたら、私はきっと誠実な人ではなくなるよ。
だってずるい気持ちも汚い気持ちもいっぱい持ってるもん。
何かするときはいつも「どういうのが誠実な態度か?行動か?発言か?」って考えながら、選んでる。
たまに無理もしてる、我慢もいっぱいしてる、でもそれが自分を偽っている行為やとは思ってない」
「樹さんはかわいそうな女が好きなんです。あの人だけじゃない。
かわいそうなかわいそうな女に手を差し伸べたい男っていっぱいいるの。
なんでかわかります?、自信がないからですよ。
自分に自信がないから、見下せる女がいいんです。
かわいそうやね、俺が守ってあげるからねって庇護したいの。
自分が強くて器の大きな男になったみたいで気持ちいいんでしょうね。
私って最高に樹さんの理想の女だったと思う。哀れで弱くて、何にも持ってなくて。
人に知られたくない弱点がある男の人って利用しやすい」
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