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2022年9月10日 (土)

アレックス・ヘイリー ”マルコムx自伝” ☆


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内容(「BOOK」データベースより)
マルコムX自身が「ルーツ」の著者アレックス・ヘイリィに
死を予感する中で語り綴られた異色の自伝。
スラムの中で麻薬を常用、強盗にまで堕したマルコムは、刑務所で自己の価値に目ざめ、
黒人イスラム教団の最も戦闘的で説得力のあるリーダーとなる。

非宗派的な黒人解放組織を設立し、新しい活動を深めるなかでの暗殺。
なぜ黒人は人間であることを否認されるのか。問いは今も重い。〈解説〉猿谷
 


彼の激しくも短い人生録に、没頭しました、、、
少なくても彼には、奥様と著者、温かく力強いふたりの理解者がいたことが救いだなと思えた、
以下に、心温まるくだりを本文エピローグより、、、

口には出さなかったが、マルコム X と私とは温かい同士愛的友情を互いに分かち合えるような段階に
ついに達した。私にとっての彼は、掛け値なしに、非常に魅力的な人柄の持ち主だった。
彼のほうで私のことをどう思っていかは、いろいろな事から推測するしかないが、
率直に言いたいことが言えて、2度も3度も同じことを言わなくても済む相手だということが次第に
わかってきたのだと思う。絶えず緊張して生きている人間は誰でもそうだろうが、
気持ちの上でリラックスできる人間、それも男性にそばにいてもらいたかったのだ。

今でも私が旅に出ると、いつも電話をかけてきて、いつニューヨークに帰ってくるんだと聞く。
そして万障くり合わせて空港まで出迎えてくれることがしょっちゅうあった。口から歯をのぞかせて、
人の良さそうなニヤニヤ笑いをしながら、ひょろっと背の高い彼が大股で近づいてくるのが見えて、
やがて彼の運転する車で市内へ戻る間、私の留守中に起こった興味ある事柄を教えてくれるのだった。


図書館に予約して、この本を手にしたきっかけは、
朝日新聞のボンマルシェの、コウケンテツの“名作ごはん劇場”です、
全てマルコムから学んだ『マルコムX自伝』より

第一級の書評を以下に、転記します、








魂が震えるような強烈な読書体験――。ページをめくる作業すら煩(わずら)わしい。
こんなに夢中で貪るように一気読みした記憶は後にも先にもないだろう。

激動の1960年代。アフリカ系アメリカ人の民衆からの熱狂的な支持の下、
黒人解放運動の闘争的な指導者として時代を一気に駆け抜けたマルコムX
そのあまりに短く激しい人生を記したのが「マルコムX自伝」だ。

ラディカルな過激派、分離主義、暴力、デマゴーグ…。
NOI(ネイション・オブ・イスラム)時代の名残で、どうしても付きまとうマルコムのイメージワード。
どれも言葉上の表現としては間違ってはいないのかもしれないが、
それらが彼の本当の実像を現すのだとしたら、そんなの全く芯を喰っちゃいないよと言わざるを得ない

マルコムは当時の体制側から最も恐れられた指導家だと言われていた。
彼の過激思想のせい? それは違う。

歴史に裏打ちされた彼の激しくかつ冷徹な発言が、白人中心社会の嘘、偽り、偽善、欺瞞をあぶり出し
特にアフリカ系アメリカ人の民衆に知ってほしくはない「不都合な真実」を、命をかけて
暴いたからに他ならない。

事実、本書を読むと、彼は研究熱心な勉強家であり、聡明で思慮深い人物だということがよく分かる。
特にメッカ巡礼、アフリカへの旅以降はさらに視野、見識を広げ、変化し、成長することを自らに
課し続けたマルコム。

晩年は、人種を超越した普遍的な思想に辿り着こうとしていたその矢先に、、。
本当に残念でならない。

僕はといえば、10代半ばから何をやってもうまくいかず、挫折を繰り返し、自分になんの価値も
見出せない時期があった。周りの人たちとの折り合いも悪くなり、嘲笑や批判の声も
ちらほらと耳に入った。

「もし君を批判するものがいないなら、君は恐らく成長しないだろう」

このマルコムの有名な言葉に、僕の魂は激しく揺さぶられた。
そして今もずっと心の片隅に留めている大切な言葉なのだ。

その一方、ネットやSNSで日々流れてくるおびただしい情報、フェイクニュース。
これらの真偽を疑いもせず、確かめもせずに誰かを一方的に批判し、
糾弾しないと気が済まないという世の中の空気には息苦しさを感じる。

マルコムは問う。事実とされる報道のその奥には何が隠されているか? 
その善悪の判断は誰にとっても公平なのか? 身近な人に信頼される人物になるには?

そして、あなたはそうあるための努力をしているのか?

マルコムXの最大の功績は、自分のルーツを知る意義を見つけたこと。どんな境遇に置かれても、
どん底に落ちたとしても、自らを律し、努力と決意でどんな人でも自分の人生を変えることができる。
それを見事に証明し、人々を導いたことだ。これこそが時代や人種を超え、普遍的に善きこと、
美しいこととされる生き方なのかもしれない。

本書には、モハメド・アリはもちろん、サム・クックやビリー・ホリデイなど時代を代表する
アフリカ系アメリカ人の偉人、アーティスト、作家、ジャーナリストなどが多数登場する。
当時の時代背景、生活が生き生きと描かれ、60年〜70年代のブラックカルチャー史の、
貴重な資料としても評価が高い。

執筆協力のアレックス・ヘイリー(あの『ルーツ』の著者と言った方が分かりやすいかな)が記した
エピローグがまた秀逸なのだ。全ての章がハイライトだと言っても過言ではない本書だが、
このエピローグの存在がさらに輝きを放っている。

そこには二人が育む友情関係や、人間味溢れる真のマルコムの姿が描かれ、
アレックス・ヘイリーだからこそ本書が世に出たのだと、改めて認識させられる。

そして今回のレシピは、もしも僕がマルコムとランチを共にできたら何を作る?という妄想レシピです
(笑)。


上記出典



 

 

 

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