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2022年4月 5日 (火)

加藤シゲアキ著 ”オルタネート”


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内容(「BOOK」データベースより)

高校生限定のマッチングアプリ「オルタネート」が必須となった現代。
東京のとある高校を舞台に、若者たちの運命が、鮮やかに加速していく。
全国配信の料理コンテストで巻き起こった“悲劇”の後遺症に思い悩む蓉。
母との軋轢により、“絶対真実の愛”を求め続ける「オルタネート」信奉者の凪津。
高校を中退し、“亡霊の街”から逃れるように、音楽家の集うシェアハウスへと潜り込んだ尚志。
恋とは、友情とは、家族とは。そして、人と“繋がる”とは何か。
デジタルな世界と未分化な感情が織りなす物語の果てに、三人を待ち受ける未来とは一体―。
“あの頃”の煌めき、
そして新たな旅立ちを端正かつエモーショナルな筆致で紡ぐ、新時代の青春小説。


2013年に著者の”ピンクとグレー”を読んだとき、
個性あふれる、斬新な文体に引き込まれました。
著者ご本人を、存じ上げませんでしたし、
読後にこれがジャニーズのアイドルの作品だと知り、衝撃を受けました。
類まれな才能、物書きとして、必ずや生きてゆけることだろうと大いに感じ入りました。


本作では、おばさんは、、、
そもそもマッチングアプリなるもののシステムを飲み込むのに手間取りながら、
流石の描写力に感服しつつも、
これは、お若い方々の本だなぁと、思いつつ、、、


★★★☆☆


以下に、その並外れた描写力の一文を本文より転記します、







マコさんのホルン

一音目のロングトーンが響く。体が音に共鳴し、震える。空気の形が変わった。
芯のある音でありながら質感はふくよかで、
殴られた衝撃と同時に、撫でられたような慈しみがあった。
この音が近いのか遠いのかさえ掴みきれず、空間が歪んでいるのかと錯覚する。
暑さも感じなくなって、地球から遠い惑星に飛ばされたみたいだった。
たった一音でその状態になるのだから、その後に続いた演奏に尚志の意識は一気に吸い込まれた。
滑らかに進んでいく旋律の波は尚志を浮かして転がし、戯れて包む。
乱雑な内面が綺麗に整っていくのを感じる。とてつもない力だ、と尚志は思った。

 

 

 

 

 

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