作: 森 絵都、絵: 吉田 尚令 ”希望の牧場”
®
2014年09月09日発行のこの本の一部を
以下に抜粋させて戴きます、、、
『2011年3月11日、東日本大地震の約一時間後、
その原発施設をつなみがおそった。
事故がおこった。放射能が広がった。みんながにげた。
町にはだれもいなくなった。あっというまにな。
でも、にげられなかった動物たちは、のこってたんだ。
牛も、ぶたも、とりも、犬も、ねこも ――― せわしてくれる
人間をなくした動物たちは、つぎつぎと死んでった。』
そして、、、
” そのきもちも、オレはわかる。
ほんとは、だれだって、
殺したくなかった。
だいじに育ててきた牛だ。
なみだをのんで、
国の決定にしたがったんだ。
でも、オレはそうしなかった。"
この本は、、、以下: 出典
『「なあ、『牛飼い』って、しってるか?
牧場で、牛のせわして、くらしてる。それが牛飼いだよ。かんたんだろ?
でもあのでっかい地震のあとは、かんたんじゃなくなった。
うちの牧場は、原子力発電所の近くにあったからだ。」
「大地震の約一時間後、原発施設を津波がおそい、事故がおこりました。
町にはだれもいなくなりました。事故によって放射能がひろがったからです。
花、ホトトギスの鳴き声、紅葉、雪模様、星空。うつくしい土地はかわらないのに、
目に見えない放射能があるというだけで、意味がかわってしまいました。
「もうここに住まないでください」「牛たちの殺処分に同意してください」
国の役人がなんどもいいにきます。
330頭の肉牛。放射能をあびて食えない、売れない牛たち。
それでものどがかわき、おなかがすく牛たち。
「だれもいなくなった町の牧場に、オレはのこった。
そりゃ放射能はこわいけど、しょうがない。だってオレ、牛飼いだからな。」
直木賞作家の森絵都さんが文章を書き、『パパのしごとはわるものです』などでいま注目の
イラストレーターの一人、吉田尚令さんが絵を描いた絵本です。
福島第一原子力発電所からたった14キロ地点。
警戒区域内にとりのこされた「希望の牧場・ふくしま」を森絵都さんと吉田尚令さんは訪れ、
この絵本をつくりました。
「希望」ってなんだろう? そして「放射能」っていったいなに? 生き物が「生きる」ってなに?
いろんなことを考えるきっかけになると思います。
みじかい文章で場面は構成され、
「牛飼い」の語りが一場面、一場面、まっすぐ読み手にとどいてきます。
言葉の意味がすべてはわからなくても、
吉田尚令さんの絵と森絵都さんの文から伝わるなにかが、きっと子どもたちの糧となるでしょう
これからの時代、なおさらに。
いまもエサ不足が深刻な牧場。絵本売上げの一部が活動資金として寄付されるそうです。
牛も人もほかの動物もみな、いま生きている。意味があっても、なくても。
それを受け止めたいですね。
(大和田佳世 絵本ナビライター)』
®2017年3月11日にアップしたリユース記事です
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「天災は忘れた頃にやってくる」
物理学者・防災学者の寺田寅彦が残した警句
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