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2021年11月 4日 (木)

太田 愛著”犯罪者”、上下巻 ★


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内容 (2017)
修司と相馬、鑓水の3人は通り魔事件の裏に、巨大企業・タイタスと与党の重鎮政治家の存在を掴む。
そこに浮かび上がる乳幼児の奇病。暗殺者の手が迫る中、3人は幾重にも絡んだ謎を解き、
ついに事件の核心を握る人物「佐々木邦夫」にたどり着く。乳幼児たちの人生を破壊し、
通り魔事件を起こした真の犯罪者は誰なのか。
佐々木邦夫が企てた周到な犯罪と、
その驚くべき目的を知った時、3人は一発逆転の賭けに打って出る。



産業廃棄物、政官癒着、、、
今まさに、問われている諸問題、、、
緻密なプロット、スピード感あふれる展開。

顔の半分を失うメルトフェイス症候群の乳幼児たち、、、
次々と容赦なく命を奪いに来る怜悧な殺人者の影に怯え、、、
胸の痛みと恐怖にしばらく本を置いてしまったほどの、、、

ただただ、舌を巻くばかりの著者は、、、と調べてみたら、、、
「相棒」の脚本家で、なんと本作が小説家デビュー第一作とのこと、、、

次作の『幻夏』は、、、時間を置いて、読むことといたします、、、

★★★★★


以下に、心に残った一文を、転記します、、、







人口に対して国土が狭く、耕作地面積が狭い日本は食料自給率を維持するのは元来困難なのです。
しかも国家が急速な経済発展を遂げる中で農村の労働力は都市へ流出し、
日本の農業自体が衰退するほかなかった。
その結果、1960年に約5千億円だった農産物の貿易赤字は昨年には約4兆円に膨れ上がっている。
今や我が国は世界有数の食料輸入大国なのです。

日本の食料業界は今後、海外で生産し、日本への輸出と並行して現地での内販も行うという形が主流に
なっていくこといくでしょう。すでに多くの日本の食料企業が現地の企業グループと提携し、
中国国内での物流や販路などの営業インフラを獲得すべく欧米企業としのぎを削っています。
この状況いずれ、安価な労働力を持つアジア全域に広がっていくでしょう。
営業部の君ならわかると思いますが、これは兵器を使わない戦争なのです。


「いいかい?、年間4億トンって言われる産廃のうち、どれくらいが不法投棄されてると思う?
お役所の発表じゃ数十万トンってことになってるが、実のところ数百万とも数千万トンとも
言われている。つまるところ、圧倒的に足りないんだよ。最終処分場が。
考えてみな、毎日ものすごい量の製品が作られて産廃が出る。ところが最終処分場は増えてるか?
住民が反対してどこにも造れやしねぇ。まともに捨てようったって場所がないんだ。それを役所や
警察はとにかく不法投棄を取り締まれってんで、マニ票やら規制強化やらで押さえつけてくる。
不法投棄を請け負う地下ルートがなけりゃ、どんな工場もたちまち自分とこの出した産廃に埋もれて
一週間で生産ストップになるだろうって言われてるのにだ。
最近じゃ市民にまで目の敵にされてさ、うっかり不法投棄してるとこなんぞ見られたら、
すぐに役所に通報されちまう。やりにくいったらないよ」



戦前からの政治家の家系はほとんどが三代目、四代目に入り、政治の世襲化が進んでいる。
理由のないことではない。何かことを動かすにはまず人を動かさねばならず、人を動かすには人脈が
不可欠だからだ。だが名馬の仔が全て名馬になるわけもなく、政界のサラブレッドは競走馬のように
実力で淘汰されることもない。当然のごとく人脈だけを守り札のようにぶら下げた駄馬が増えてくる。
長く派閥間の調整役を担ってきた磯部はしばしばその現実に辟易とさせられた。もちろん
志のあるものもいないではなかった。しかし東原の息子の亘にしても壇上の挨拶を聞いただけで
箸にも棒にもかからぬ男と知れた。四十を過ぎても人にかしずかれて育った尊大さを隠す術も知らず、
ただ頭を下げればへりくだったことになると信じている無邪気な男だ。

 

 

この国の人間は幼い子供と同じだ。信じやすく臆病で妬み深い。
そして子供らしい本能で力のある者に逆らうのは愚かなことだと心得ている。普通に暮らしていれば
他人に迷惑をかけるようなこともなく、理不尽な不幸に見舞われることもないと高を括っている。
もちろんいざ我が身に災難が降りかかるととたんに被害者面をして世間の無関心を恨むわけだが。
それほどに無邪気な彼らが、それでも一人前の大人の顔をして生きてこられたのは、
国と企業が長い間で彼らを自らの子として守ってやってきたからだ。
一生懸命働いてさえいれば、他の事は何も考えなくてよい。
まさに世間の親が、子に勉強さえしていれば良いというのと同じようにな。
それが当たり前と思って生きてきた結果、
世間は、企業がもはや子を庇護をするのを放棄したことにさえ気づいていない。
置き捨てられたとも知らずに砂場で遊んでいる子供のようなものだ。
この五年でこの国がどれほど大きく舵をきったか。
世間はこの先何年もかけて思い知ることになるだろう。











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