立花 隆著 ”宇宙からの帰還 “ ☆
内容
宇宙とは、地球とは、神とは、人間とはなにか。
―宇宙飛行士の衝撃に満ちた内的体験を徹底した取材と卓越したインタビューによって鮮やかに描き、
知的興奮と劇的感動をよぶ壮大な精神のドラマ。
NHKで、立花隆氏の追悼番組を拝見して、一気に虜になったおばさん、、、
知の巨人がとてつもないエネルギーと情熱を込めた一冊。
おばさんには、さっぱりわからないところが多々あったものの、
そんなことはものともせず、おばさんは漆黒の宇宙へといざなわれて、、、
★★★★☆
エリート中のエリートたちの言葉を、本文よりほんの一部、以下に転記します、
ジム・アーウインの話
―――宇宙飛行士は科学的知識を嫌と言うほど詰め込まれる教育を受けたわけだが、
科学的知識と宗教の教えの間の分断に悩んだことはありませんか。
「それはもちろんある。特に進化の問題だ。生物学的進化の問題より、我々の場合は、
地質学的進化の方が勉強の中心だったが、その問題で悩まなかったと言ったら嘘になる。
しかし、宇宙空間から地球の姿を見たとき、この地球は宇宙において全く特別な存在であることを
どう否定しようもなくわかった。地球と、地球以外の宇宙のすべてとは、全くの別物なのだ。
その否定しがたい事実が目の前に突きつけられる。その時、これは神直接の創造物以外ではあり得ない
と思った。天文学が進歩し、遠い宇宙の彼方の情報がたくさん入るようになって、より一層確かに
わかってきたことは当然この広い宇宙のどこにも地球以外に生命がないということだ。
我々はこの広い宇宙の中で全く孤独なのだ。この地球にだけ神の手が働き我々が創造されて生きている
のだということには疑念の余地がない。これほど見事な、美しい、完璧なものを神以外に作ることは
できない。結局、科学は宗教に対立するものではない。科学は神の手がいかに働いているかを少しずつ
見つけ出していく過程なのだ。だから、科学が、一見当然宗教の教えと矛盾しているような場合でも、
科学がより高次の段階に至れば、その矛盾は解消していくものだと思う。科学はプロセスなのだ。
だから、科学の側でも当然宗教の側でも、互いに敵視するのは誤りだ」
ウォーリー・シラーの話
―――他の宇宙飛行士に聞くと、ほとんどの人が、宇宙から地球を見ていると、
国際政治における対立戦争の全てが実にバカげて見えると言っているが、、、
「それは全くその通りだ。私も同じことを言ったことがある、
国家間の対立抗争などというものは、実に馬鹿げたつまらぬことだ。
国と国が争う前に、お互いに協力して解決すればならないことが山ほどある。それはその通りだ。」
―――宇宙も軍事化されつつあるが、、、
「今のような国際情勢下にあっては、偵察や査察のために宇宙が利用されることはやむを得まい。
しかし、その限度を超えて、戦争目的にまで宇宙を利用しようとするのは、全く馬鹿げている。
宇宙の利用の仕方として馬鹿げているというだけではなく、軍事技術的に馬鹿げているのだ。
宇宙は場として戦争に適した場ではない。アメリカ映画にしても、日本の映画にしても、宇宙を舞台
にした映画はみんな宇宙戦争映画だ。スターウォーズとか、宇宙戦艦とかひっきりなしにドンパチ
(いやキューンとか、ビーとか、ビョヨヨンとか電子音を出しているが、ああいう電子音は現実には
宇宙船の機器からは全く発しない)打ち合っている。ああいうことは現実には起こりそうにない。
ハンターキラー衛星とか、宇宙での衛星同士の戦闘を前提とした宇宙技術の開発が、現実に
すすめられているではないかと反論されそうだが、実際のところ、宇宙での戦闘は極めて困難なのだ。
何より、索敵が難しい。索敵して、相手をこちらの武器の射程距離に入れるまでに接近することが
戦闘の前提だ。武器としては、レーザー兵器が最も有効だろう。索敵・接近とは、ランデブーと
基本的に同じ技術だ。ところが、これが簡単にはいかない。今のロケットの推進力をもってしては、
地球軌道上のある一点から他の希望する一点に移動するために、ゆうに1日はかかってしまうのだ。
これでは実用にならない。衛星を破壊できるだけのレーザー兵器があれば、地上の基地から狙った方が
有効だ。衛星の軌道を常に把握しておけば当、地上から撃ち落とすのに5秒もかからない。
宇宙では燃料は限られているから、飛行機が空中を自由に飛び回るように動くことができない。
その所在は基本的にはいつでも地上からつかまれている。
だから宇宙戦争というのは、空想の産物だ。軌道飛行物体は、地上からの破壊に弱い。
この弱さがあるから、宇宙戦争は平和を前提としない限りこれ以上進められない。
スペースステーションにしろ、宇宙太陽エネルギー発電所にしろ、作ることに技術的困難はないが、
それを作ったら、戦争が起きた時には簡単に破壊される事を覚悟しておかねばならない」
ほとんど本を読まない長男に、、、
これは、好きそうだなと、プレゼント♪
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