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2021年8月29日 (日)

夏川草介著 ”神様のカルテ0(ゼロ)” ”新章 神様のカルテ” ★


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神様のカルテ0 【内容】
人は、神様が書いたカルテをそれぞれ持っている。それを書き換えることは、人間にはできない―。
信州松本平にある本庄病院は、なぜ「二十四時間、三百六十五日対応」の看板を掲げるように
なったのか?(「彼岸過ぎまで」)。夏目漱石を敬愛し、悲しむことの苦手な内科医・栗原一止の
学生時代(「有明」)と研修医時代(「神様のカルテ」)、その妻となる榛名の常念岳山行
(「冬山記」)を描いた、「神様のカルテ」シリーズ初の短編集。
二度の映画化と二度の本屋大賞ノミネートを経て、物語は原点へ。
日本中を温かい心にする大ベストセラー


新章 神様のカルテ 【内容】
栗原一止は、信州松本に住む実直にして生真面目な内科医である。「二十四時間、三百六十五日対応」
の本庄病院を離れ、最先端の医療を行う信濃大学病院に移り早二年。
患者六百人に医者千人が対応する大学病院という世界に戸惑いながらも、
敬愛する漱石先生の“真面目とはね、真剣勝負という意味だよ”という言葉を胸に、
毎日を乗り切ってきた。だが、自らを頼る二十九歳の女性膵癌患者への治療法をめぐり、
局内の実権を握る准教授と衝突してしまう。
330万部のベストセラー、大学病院編スタート!特別編「Birthday」も同時収録。

 

このシリーズを読み終えるのがもったいなくて、先延ばしにしてきました、、、
現役の医師でもある著者の深い洞察と知識、迷いながらも真摯に患者と向き合う姿勢、、、


コロナ渦にあって、日本の政治の貧困さ、医療が抱える様々な問題点、、、
常に笑顔と涙、そして、勇気をくれたこのシリーズに感謝、

★★★★★


以下に心に残った一文を感動のままに長々と記します、









 

“この息苦しい医療の変化の中で、生き抜いていかなあかん本庄病院やからこそ、
“困った人がいれば手を差し伸べるのが医療の基本や”と、
恥ずかしげもなく言う男が必要なんや。そうやろ、“

“確かに本はいいですが肝心な時に限ってなかなか役に立ちません。本にはね、正しい答えが
書いてあるわけではありません。本が教えてくれるのはもっと別なことですよ。
ヒトは、一生のうちで一個の人生しか生きられない。しかし本は、また別な人生があることを我々に
教えてくれる。たくさんの小説を読めばたくさんの人生を体験できる。
そうするとたくさんの人の気持ちがわかるようになる。困っている人の話、怒っている人の話、
悲しんでいる人の話、喜んでいる人の話、そういう話をいっぱい読む。
すると少しずつだが、そういう人々の気持ちがわかるようになる。”
”分かると良いことがあるのですか?“
”優しい人間になれる“


「イノダのアラビアンパールには、たっぷりの砂糖とミルクが合う。まことにクラシカルな名品だ」

「嘘と卑怯と小細工は恥ずかしいことだ」


「夏の夕立って気持ちいいもんだね、何か地に溜まった色々なものを全部洗い流してくれるみたいだ」

 

世界には目に見えない不思議な力があり、説明のつかない出来事が起きる。
・・・
それらを引き起こしている存在を神だというのなら、私はおそらく神を信じている。
ただし、この神は、人間の生死に頓着しない。
懸命に生きるものに慈悲を垂れたり、苦悩にあがく者に癒しを与えたりはしない。
ヒトが生きようが死のうが、そんなものには最初から興味がない。
人間が蟻や蠅の一生に何の感覚も覚えないように。

 

「患者は29歳の若い母親だ。3ヶ月前に発見された膵癌で命を落とそうとしている。
手元にはまだ7歳の娘がいて、父親は気持ちの優しい人物だが頼りない一面が拭えない。
この状況で二木さんは懸命に自分の命と向き合っている。
感情的にもなれば、絶望的にもなる、それでも懸命に生きているのだ。
そんな彼女に向かってもう少し冷静になれなどと、それこそ君の言う暴言というものではないのかね」


「ご主人が不安なのは当たり前だ。きっと毎日、不安で不安で気が狂いそうになっているに違いない。
これから何が起こるのか、今はどれほど苦しむことになるのか、娘は大丈夫なのか、
生活はどうなるのか。その無数の不安を、なくす方法があるなどと本気で思っているのかね」
「ご主人の不安はなくなるものではない。
我々のなすべきことは不安がなくなるまで漫然と待つことではなく、不安を抱えるご主人に向かって、
“それでも大丈夫なのだ”と告げることだ。
どれほど不安でも、“我々が全力で支えるから心配するな”と」

 

「禍は福の倚()るところ、福は禍の伏す所」
「老子の言葉です。不運のそばに幸運がありと幸運の陰に不運がある。
人に与えられた運と不運は平等だと思います。我々の苦労は、きっと報われます。
人生はつじつまが合うようにできているものですよ」


いつ治療を止めるべきなのか、どこで看取るべきなのか、家族の不安をどうやって支えるべきなのか、
「死」をめぐる問題に直面した時、
常日頃はあれほど饒舌であったはずの、技術も知識もガイドラインも、一斉に口を閉ざしてしまう。
その息の詰まるような沈黙の中を医師はただ己の信じる道を進んでいくのである。

 

 





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