ひととき、"一番傷つけているのは”
朝日新聞4/30、“ひととき”より転記します、
前から来た人と避ける方向がかぶることがある。
2度3度互いに同じ動きを繰り返し、
若干の気まずさを抱えてその場を離れるというのは多くの人が経験しているのではないか。
先日も横断歩道上で前から来た若い女性とその現象になった。
そしてすれ違う際、盛大な舌打ちと同時に「死ねや!」と聞こえた。
いやいやいや、ちょっと待て。この場合の過失割合は完全なイーブン。
私が死刑なら、あなたも同罪。気まずさに対し罰が重すぎる。
思わず振り返ると彼女は足早に駆けていく。なるほど、急いでいたんだね。
言葉が時代とともに変化していくことは自然な流れだと思っている。
そうでなければ学生時代に古文の試験に悩むことはなかったはずだ。
一方、人を貶(おとし)めたり傷つけたりする言葉はさして変わらない。
「死ね」はもうずっと長い間、人を蔑(さげす)む言葉として君臨している。
横断歩道の彼女は用事に間に合ったかな。
遅れそうでいらいらして、鈍臭い通行人に暴言を吐くことで気分発散になったのか。
でもね、ほんとはその貧相な言葉で一番傷つけているのは、あなた自身の人格じゃないかな。
(大阪府東大阪市 神元淑恵 看護師 55歳)
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