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2020年8月21日 (金)

篠田節子著 ”夏の災厄” ☆


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『内容(「BOOK」データベースより)

 東京郊外のニュータウンに突如発生した奇病は、日本脳炎と診断された。
 撲滅されたはずの伝染病が今頃なぜ
 感染防止と原因究明に奔走する市の保健センター職員たちを悩ます
 硬直した行政システム、露呈する現代生活の脆さ。
 その間も、ウイルスは町を蝕み続ける。世紀末の危機管理を問うパニック小説の傑作。』



今のこのコロナ禍のパンデミックを、
25年も前に予言したかのような本書に、慄然としました、、、

それにしても、お役所の前例がないことへの取り組みの鈍さ、
そして、政府の後手後手に回る対応の鈍さも、今と何ら、変わらないなぁと、あきれながら、、、


★★★★☆

以下に心に残った一文を転記します、





 

 



「どいつもこいつもワクチンのありがたみを忘れておる。ちょっと前までは、日本でだって、
インフルエンザでバタバタ死んでいた。70年前のスペイン風邪の流行のときには、40万人が死んだ。
その後のアジア風では4万、その後の香港風邪の時も似たようなものだ。誰もが忘れておるのだ。
あまりに豊かになりすぎて、病気になどかからん、と思っておる。我々が病原体を命がけで扱って
作り出したワクチンを接種してもらい、病気にかからなくなると、
針の穴ほどのことをあげつらい騒ぎ出だす。たかだか1000万人に1人死ぬかどうかの問題だ。
それだってたまたま弱く、特殊なものだけだ。死ぬべくして死ぬ者が死ぬだけだ」

「一度、疫病に見舞われてみれば、わかるのだ」

「何が、エイズだ。本当の疫病はあんなものではない。まず弱いものから死んでいく。はじめは、
子供と年寄り、そのうち働き盛りの男や女、毎日毎日、どこかの家から白木の棺桶が運びだされる」

 息が切れたらしくちょっと言葉を止めていたが、
背もたれによりかかり、視線を宙にさまよわせ、今度は呪詛のように語り出した。
「病院が一杯になって、みんな家で息を引き取る。感染を嫌う家族から追い出された年寄りたちは、
路上で死ぬ。知っておるか、ウイルスを叩く薬なんかありゃせんのだ。対症療法か、さもなければ
あらかじめ免疫をつけておくしかない。たまたまここ七十年ほど、疫病らしい疫病がなかっただけだ。
愚か者の頭上に、まもなく災いが降りかかる……。
半年か、一年か、あるいは三年先か。そう遠くない未来だ。そのときになって慌てたって遅い」



ポリオなど、生ワクチンの場合、、まれに接種を受けた者の便から感染することがある。
ワクチン接種自体が、半殺しの病原体や弱めた毒を体に入れることだから、
ある程度の危険はあるのだ。
たまたま間違いがあって、弱毒化がうまくいかなかったり、野生株が混じっていたりすれば、
そこから感染が起こる可能性がある。ごく最近では、 MMR ワクチンがこの手の感染事故があった。


「こんなことがなければ、みんなちゃんとした常識を持って、正しい判断が出来るのよ。
考えてごらんなさい。なんだかわからないまま、得体の知れない病気で、家族や知人が倒れて
行くのよ。そんなものを目の当たりにしていたら、今まで身につけたいろいろな 常識が、
みんな疑わしいものになってしまう。合理的な考え方ができなくなると思わない」


食材のケータリングサービスなどの宅配業が盛んになった。戒厳令下のようなひっそりした街を、
長袖に軍手で身を固めたドライバーの運転する各種宅配の軽トラックばかりが走り回っている。


もう一方で、この脳炎の流行は経済活動にも深刻な被害を与えていた。
駐車場を持たない中小の商店、配達する人手のない店、衣料品、雑貨等、
購入するのに急を要しない商品を扱うにその売り上げは、激減した。









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