田辺聖子著 乃里子三部作 ★
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① “言い寄る”
内容(「BOOK」データベースより)
乃里子、31歳。フリーのデザイナー、画家。自由な一人暮らし。
金持ちの色男・剛、趣味人の渋い中年男・水野など、
いい男たちに言い寄られ、恋も仕事も楽しんでいる。
しかし、痛いくらい愛してる五郎にだけは、どうしても言い寄れない…。
乃里子フリークが続出した、田辺恋愛小説の最高傑作。
昭和49年刊行。半世紀もの時を隔てていても、
たった今、本を開くと、お聖さんの瑞々しい感性がキラキラと輝きを放ち始めます。
「男には2種類ある。言い寄れる男と、そうでない男である」
大好きな、浪速のサガン、お聖さんの乃里子三部作、第一弾。
そして、、、
② “私的生活”
内容説明
山田詠美のバイブル・乃里子シリーズ第2弾財閥の息子の剛ちゃんと結婚した乃里子。
高台のマンションで何でも買える結婚生活は、
しかし「私」の生きる場所ではないと気付いていく。
ほろ苦く温かい恋愛小説
昭和51年刊行
以下、本文より、、、
女(あるいは男)と、いつまでも仲良くしようとすると、追いつめてはいけない、なんてこと、
剛ちゃんには分からないのかしら?
③ “苺をつぶしながら“
内容説明
160万部の三部作、いよいよ完結編
剛との結婚解消とともに中谷財閥からも解放されて、仕事も友情も取り戻した乃里子。
一人暮らし以上の幸せってないんじゃない? 、すべての女性に捧げる最高傑作。
なぜか、乃里子と、友達の優子ちゃんが重なる、、、
読み終えるのが、乃里子と会えなくなるのがさみしくなる、、、
以下本文より、、、
その上、ああいうところにいる人は、とてもいそがしいもんだから、スグものを忘れ、
いつも新しいページを、あわただしく繰ってる感じである。
それも人より早くめくろう、ってんで、
ふるえる指先にツバをつけ、焦ってページをひるがえす。
そして前のページに何が書いてあったかなんてのは、片端から忘れていく。
どんどん、どんどん新しいページをめくるだけで、
前のページなんか、くりかえしてみることはない。
すべて、この世界では同じことをしないで新奇なことをしなければいけない。
くりかえしということはいやがられるのである。
それでぱっと逢った初対面の人とニコヤカに話し、時間いっぱい、最大限に愛想よくして、
決められた時間がくるともう見向きもせず、次の人や次のことがらに熱烈に向き合う、
ゆっくりモノをいう間もなく、じっくり眺めるひまもなく、
昨日のことでもストンと忘れて十年くらい前のことになってしまう。
すべて何でも、いっぺん経験すると、
(よし、わかった)
(あんなもの、一ぺんやったらいい)
というので、もうすっかり、何でも知りぬいているに見下げて、ぽんぽん跳ねのけ、
夢中で新しいものを漁りつづける、そういう人たちでみちみちている。
マダムはこの古いイギリスのオルゴールを骨董市でみつけたとき、
アッと心を吸い寄せられたが、
音色をきいてみてもう、どんな犠牲を払っても自分のものにしたいと思いつめたんだそう。
ともかくそれほど好きなものを人生で見つけるって、最大の幸福だから。
マダムは「そのとき値札なんか見てるひま、なかったんです。
いっしょに見にいったご主人の方が狼狽して、「値札見たか!?、オマエ!」というのに、
「パパ、あたしもう一生、ジーパンとTシャツでいいから!」って哀願したんだって。
車は突き当りのたてもの(万平ホテル)へ着いた。
典雅な木造の、古めかしいホテル、堂々としているけど、
木造のものなつかしさがあり、テラスが張り出していて、
それらすべて淡々しい緑に包まれている。
・・・
内部もしっくりしてモダンだけれど日本風な味わいもあり、いかにも明治の洋館、という風情。
®2013年3月にアップしたリユース記事です
大好きなお聖さんの御冥福を心よりお祈りいたします、、、
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