井上荒野著 ”キャベツ炒めに捧ぐ” ☆
『内容紹介
東京の私鉄沿線の、小さな町のささやかな商店街の中に「ここ家」がある。こだわりのご飯に、
ロールキャベツ、肉じゃが、コロッケ、ひじき煮、がんも、あさりのフライ、茄子の揚げ煮、
鯵のフライ・・・・・・、
「ここ家」のお惣菜は、どれもおいしい。
にぎやかなオーナーの江子に、むっつりの麻津子と内省的な郁子、
大人の事情をたっぷり抱えた3人で切り盛りしている惣菜屋「ここ家」。
彼女たちの幸福な記憶と切なる想いを、季節の食べ物とともに描く』
著者の作品は、「ベーコン」に続いて二冊目だけど、圧倒的にこちらの本が面白かった!、
そのうえ、わたしと同じ世代のおばちゃん三人が作るお惣菜が、チョーおいしそう、
近所にあったら、通いつめちゃうよ♪、
・・・てか、わたしも、ここ家で働きた~い!、
★★★★☆
以下に、心に残った一文を転記します、
「ここ家」の店員を志願したのは彼女たちが作るお惣菜を食べたからで、とすると
自分の味覚は正しかったというわけだ、と郁子は思う。
「ここ家」は今や郁子にとって、生計という以上の意味を持つ場所となりはじめている。
まずバターでニンニクをゆっくりと炒めて、じゅうぶんに香りが立つと、火力を強めて
ちぎったキャベツを放り込んだ。味付けは塩だけで、黒胡椒をたっぷりと挽いた。
さあどうぞ、奥さま。キャベツ炒めとトーストと珈琲。白山の妻となって初めての食事がそれだったのだ。
日曜日の朝。前日店から持ち帰ってきたキャベツを炒めて食べようとしている。
朝だからニンニクは入れずに、かわりに仕上げに、玉子を落として。
「おいしーい」
今日の江子はいつも以上に饒舌だ。塩梅よく半熟に出来た素ごもり玉子の黄身をトーストですくって頬ばる。
「おいしいったらありゃしないわ」
料理ってすごいわよね。江子は思う。高級食材じゃなくても凝ったことをしなくても、
おいしく作りさえすればちゃんとおいしくなるんだもの」
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