東山彰良著 ”僕が殺した人と僕を殺した人” ☆
内容紹介
選考会で絶賛された直木賞受賞作『流』を経て生まれた、圧倒的青春小説! 1984年、台湾。
13歳だった。 夏休みが終わるほんの2日前、ぼくたちの人生はここから大きく狂いはじめたんだ。
2015年冬、アメリカで連続殺人鬼「サックマン」が逮捕された。デトロイトの荒んだ街並みを見つめながら、
「わたし」は、台湾で過ごした少年時代を想い出していく。三十年前、わたしはサックマンを知っていた――。
1984年夏、台北で、兄をなくしたばかりのユン、牛肉麺屋のアガンと弟のダーダー、
喧嘩っ早くて正義感の強いジェイは友情を育んでいた。四人の少年たちは、ある計画を実行することに決めた……。 サックマンとは誰なのか? その謎をめぐる青春ミステリー。
リズム感あふれる、スリリングな展開から目が離せなくなり、
いつの間にか、また、あの迪化街を、彼らと一緒に走り抜けていました、、、
★★★★☆
台湾と中国、そして日本、、、この三国は、、、
日本人は清朝時代の狭い道を押し広げてロータリーを造った。
延平北路はむかし太平町通りといって、やはり日本人が敷いたんだぞと父が言っていた。
いいか、ユン、日本人は台湾に市場や学校や警察署を造ったんだぞ、と。
たぶん父はぼくに、物事には二面性があることを教えたかったのだろうと思う。
それというのも、ぼくたちのようにあとから台湾にやってきた外省人は、
ふつう日本人に対してあまり良い印象を持っていないからだ。
大陸での抗日戦争をかいくぐってきた家がほとんどだから、それも仕方ないと思う。
祖父などは死ぬまで日本人を嫌っていた。
だけど、台湾の人たちはそうじゃない。
1945年に日本が太平洋戦争に負けて台湾から出ていったあと、彼らはぼくたち外省人を歓迎した。
なんといってもおなじ中国人同士なのだから、日本人なんかより話がしやすかったろう。なのに、蒋介石は
台湾人を冷酷に弾圧した。1947年に起った二・二八事件では、国民党の仕打ちに腹を立てた台湾人が
誰彼の区別なく台湾語や日本語で話しかけ、それに答えられないと外省人とみなして殴ったり蹴ったりした。
みんなが『君が代』を歌えたので、半国民党の抗議デモでは日本の国家が轟き渡った。
国民党のほうだって黙っちゃいない。いや、自動小銃や機関銃を持っているぶん、国民党のほうが
たちが悪かった。日本語教育を受けたエリートたちを逮捕して拷問して、つぎからつぎに殺した。
北京語は不如意な人がいれば、手に針金をねじこんで縛り上げてから海に突き落とした。二・二八の発端は
煙草売りの台湾人女性に対する官憲の暴行だけど、結果的に二万人以上の台湾人が殺された。台湾人が
日本統治時代を懐かしく思うのは、そういうわけなのだ。あまりにも国民党にがっかりさせられたのだ。
冤親債主(ユエンチンザイジュウ)というのは、前世での貸しを取り立てに来た債権者のことだ。
人殺しも泥棒も、交通事故でさえ、その加害者は因縁のある冤親債主かもしれない。
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