「発達障害の子 道具で自信」
4/8、朝日新聞、「発達障害の子 道具で自信」(特性に合わせ役立つ市販品 本で紹介)
はぐくむ欄を、以下に転記します。
『発達障害がある子どもの「困りごと」は道具で解決――。
一人ひとりの特性に応じて役に立つグッズを紹介した新刊
「発達障害の子のための すごい道具」(小学館、税抜き1千円)が話題だ。
特別支援教育の第一人者が、手に入れやすい市販の「優れもの」38点を厳選。
価格や問い合わせ先も掲載している。
「手先が器用ではなく、靴ひもを結べない子」に→伸縮して突起が穴に引っかかる靴ひも
「時間の見通しが立たず、混乱しやすい子」に→残り時間が色で分かるタイマー
「音に過敏な子」に→雑音をカットするヘッドホン
「すごい道具」では、、、
「すごい道具」では、発達に遅れや偏りがある子どもたちが直面しやすい問題を5章に分類。
特性ごとにお勧めのグッズを紹介している。著者で筑波大付属大塚特別支援学校(東京都文京区)
主幹教諭の安部(あんべ)博志さん(57)が、実際に使ったり、保護者の評判が良かったりしたものを選んだ。
例えば靴ひもは、
皆が一斉に校庭に飛び出す体育の授業のたびに昇降口でもたつき、傷ついていた高校生を救った一品だ。
「大事なのは、子どもが『できない』と感じ、焦る場面を減らすこと。ひもを結ぶ訓練は別の機会でいい」
安部さんは障害児教育に約30年携わる。2003年度からは文京区の
特別支援教育コーディネーターとして学校を巡回し、子どもや保護者、教師の支援もしている。
20年ほど前、都内の小学校で自閉症児の支援にあたっていたときのこと。不意にパニックを起こし、
教室の窓ガラスを割ることもある男児に手を焼いた安部さんは、筑波大大学院で行動療法の大家
小林重雄さんに師事した。そこで、パニックを抑える対症療法ではなく、
根本にある「言葉でうまく伝えられない」というストレスの解消が必要だと教わったという。
教室に戻った安部さんは、その男児が興味を持ちそうな教材作りに没頭。
いくつかできると、「やりたい教材」を選ばせた。
パニックはしだいに減り、2週間後に男児は「先生、(あれが)やりたい」と初めて言葉にして訴えた。
それ以来、安部さんは「一人ひとりの特性に応じた教材や支援方法を駆使して子どもを成功体験に導くこと」が
障害児教育のカギだと考え、独自の教材作りや授業改善に力を入れる。
「困った子」と突き放すのではなく、「困っている子」として寄り添うと、次々にアイデアが生まれていった。
こうした活動が教育雑誌の編集長などを務めた小学館の木村順治さん(51)の目に留まった。
入手しやすさを考え、市販の「優れもの」を提案する本にした。木村さんは「発達障害がある子もその親も常に
がんばらざるを得ない状況に置かれ、強いストレスを感じている。肩の力を抜いてもらえれば」と話す。
延べ1万以上の学級を回った安部さんが感じるのは、支援を必要とする子どもたちの劣等感の強さだ。
「できない」ことを叱られ続け、人生を前向きにとらえる意欲がなえそうになっている多くの子供達を見て、
生きて行くのに最も大事なのは高い自尊感情だと気づいたという。
「『人と違ってOK』と思えれば幸福に生きることができ、他人も尊重できる。
この本を手に取る人が増えることで、一人でも多くの子どもたちができる喜びと誰かの役に立てた体験を重ね、
豊かな人生を送ってくれればと思う」(足立朋子)
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