米澤 穂信著 “王とサーカス” ☆
内容紹介
2001年、新聞社を辞めたばかりの太刀洗万智は、
知人の雑誌編集者から海外旅行特集の仕事を受け、事前取材のためネパールに向かった。
現地で知り合った少年にガイドを頼み、穏やかな時間を過ごそうとしていた矢先、
王宮で国王をはじめとする王族殺害事件が勃発する。
太刀洗はジャーナリストとして早速取材を開始したが、
そんな彼女を嘲笑うかのように、彼女の前にはひとつの死体が転がり……。
「この男は、わたしのために殺されたのか? あるいは――」
疑問と苦悩の果てに、太刀洗が辿り着いた痛切な真実とは?
2001年に実際に起きた王宮事件を取り込んで描いた壮大なフィクションにして、
米澤ミステリの記念碑的傑作!
2016年、本屋大賞第六位入賞作!、
2001年のネパールのカトマンズで実際に起きた王族殺害事件を基にして、
ミステリー仕立てに物語は進みます。
その緊張感あふれるリアルな雰囲気に次第に呑みこまれ、
ジャーナリズムとはなにか、考えさせられる一冊。
★★★★☆
物語の背景にある「ネパール王族殺害事件」について簡単な解説は、、、
物語の背景にある「ネパール王族殺害事件」について簡単に解説を加えます。
これは2001年6月1日に実際に起きた歴史的事件です。
ディペンドラ王太子が、王族の晩餐会(月一回定期的に開催)で、
父・ビレンドラ国王ら多数の王族を殺害したとされています。国王夫妻も含み9人が殺害され、
実行犯とされるディペンドラ王太子も自殺し、数日後に息を引き取ったという衝撃的な事件です。
しかし、ビレンドラの弟・ギャネンドラだけがこの会に参加しておらず、
ギャネンドラの家族が全員生き残っていたため、
黒幕はギャネンドラではないかという説が挙がっています。
後年ギャネンドラは国王になりますが、国民からの不信から、2008年には民主化。
王政が廃止され、権力を失うことになりました。
ネパールは近年まで政情不安の尾を引いていており、
全て発端がこの事件であるという見方もあります。そのくらい重大な意味をもつ事件です。
出典
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