”パラはかっこいい 子どもたちにそう思われたい”
試合会場で練習後、笑顔を見せる瀬立モニカ=5日、ブラジル・リオデジャネイロ、金川雄策撮影
9/8、朝日新聞より、転記します
前向く私、こぎ出す カヌー・瀬立モニカ
■Rio 2016 PARALYMPICS
4年前は、立って、歩いて、走っていた。
テレビで流れていたロンドン・パラリンピックは、はるか遠い世界のできごとだった。そんな18歳が、
7日(日本時間8日)開幕するリオデジャネイロ・パラリンピックに挑む。カヌーの瀬立(せりゅう)モニカ。
「できないことなんてない」。そう信じてパドルを握る。
ブラジルを代表する海沿いの観光地、コパカバーナやイパネマに囲まれたカヌー会場。
5日、瀬立はリオで2度目の公式練習に臨んだ。
動かない足を両腕で持ち上げ、艇に乗り込む。時折、海風が吹きつける。
「風が強いから気をつけてね」。コーチの声に笑顔で大きくうなずき、こぎ出した。
■車いすの生活に
高校入学直後の2013年6月、体育の授業で倒立前転の際、頭を打った。外傷性脳損傷と診断され、
胸から下の感覚を失った。入院先でベッドから起き上がるどころか、頭も上がらない。
退院後は、車いすでの生活。周囲の目が気になり、外出できなくなった。
「外に出なさい」「笑いなさい」。母のキヌ子さんに繰り返し声をかけられた。
「できるわけない」。反発した。
「笑っていたらきっといいことがあると伝えたかった」と振り返るキヌ子さんだが、
娘が思いも寄らない行動に出ないよう、こっそり家中の刃物を隠していた。
そして、、、
■「チーム」が発足
けがをしてから1年。中学からやっていたカヌーの経験をかわれ、障害者のためのカヌーに誘われた。
地元の東京都江東区が、2020年東京五輪・パラリンピックに向けて、選手の育成を始めていた。
指導者や技術者などによる「チーム・モニカ」が立ち上がった。
久しぶりに乗ると、下半身の踏ん張りがきかず、まっすぐ浮いているのも難しかった。
障害は簡単に受け入れられないし、たやすく乗り越えられるものでもない。そう感じた。
開き直ってコーチに言った。「練習を頑張って、いつか2本の足で走って焼き肉を食べにいく」
■障害理由にせぬ
テレビで見た12年のロンドン大会。
「リハビリの延長だから、ちょっと頑張れば出られるんでしょ」と思っていた。しかし、現実は厳しかった。
座った体勢を維持できないため、艇内にいすを取り付けてベルトで腹部を固定し、胸から上の力だけでこぐ。
パドルを握る手の皮はむけ、上半身はいつも筋肉痛。「障害は言い訳にならない」。
持ち前の運動神経で急成長した。ドイツで今年5月にあった世界選手権で10位。
ランキングとしては出場選手中最下位ながら、リオの出場権を得た。
知らせを受け、大泣きした。海外遠征で知った選手は脊髄(せきずい)損傷でもサーフィンを楽しんだり、
車いすで転んでも「オッケー、オッケー」と笑っていたり。
リオの選手村では「バンジージャンプに行こう」と誘われた。できないことなんて何もない。
カヌーとの出会いが、前を向かせてくれた。なぜ自分はけがをして障害者になったのか。
健常者だったらこんなにたくさんの人に生かされている、と実感することはなかったのではないか。
いろんな思いがよぎる。
「『パラはすごい、かっこいい』と子どもたちに思ってもらえるように、全力で挑みたい」
(斉藤寛子)
パラリンピック、競技日程は、こちらから、、、
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