『貧しい人』とは、、、
2016年4月1日、朝日新聞より、
質素な暮らしぶりから、「世界で一番貧しい大統領」として注目を集めた、
南米ウルグアイのホセ・ムヒカ前大統領のインタビューから以下に一部転記します。
――「世界で一番貧しい」という称号をどう思いますか。
私が思う『貧しい人』とは、限りない欲を持ち、いくらあっても満足しない人のことだ。
でも私は少しのモノで満足して生きている。
質素なだけで、貧しくはない。
軍事政権下、平等な社会を夢見て、左翼ゲリラになり、14年近く収監されたが、
そのときの、、、
――刑務所が原点ですか。
「そうだ。人は苦しみや敗北からこそ多くを学ぶ。以前は見えなかったことが見えるようになるから。
人生のあらゆる場面で言えることだが、大事なのは失敗に学び再び歩み始めることだ」
――独房で何が見えました?
「生きることの奇跡だ。人は独りでは生きていけない。
恋人や家族、友人と過ごす時間こそが、生きるということなんだ。
人生で最大の懲罰が、孤独なんだよ」
「もう一つ、ファナチシズム(熱狂)は危ないということだ。
左であれ右であれ宗教であれ、狂信は必ず、異質なものへの憎しみを生む。
憎しみのうえに、善きものは決して築けない。
異なるものにも寛容であって初めて、人は幸せに生きることができるんだ」
――格差が広がったのは?
「次々と規制を撤廃した新自由主義経済のせいだ。市場経済は放っておくと富をますます集中させる。
格差など社会に生まれた問題を解決するには、政治が介入する。公正な社会を目指す。
それが政治の役割というものだ。
国家には社会の強者から富を受け取り、弱者に再分配する義務がある」
「れんがみたいに、みんな同じがいいと言っているわけではないよ。
懸命に働いて努力した人が、ほうびを手にするのは当然だ。ただ、いまはどうかね。
働いてもいないような1人のために、大勢が汗水たらしている世の中じゃないか。
これは気に入らない。富の集積にも限度がある」
「怖いのは、グローバル化が進み、世界に残酷な競争が広がっていることだ。
すべてを市場とビジネスが決めて、政治の知恵が及ばない。
まるで頭脳のない怪物のようなものだ。これは、まずい」
Jose Mujica 1935年生まれ。
左翼ゲリラ、農牧水産相をへて2010~15年に大統領。
12年の国連会議での演説は、
日本では絵本「世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ」(汐文社)として刊行された。
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