立川談春著 ”赤めだか”
内容紹介
師匠の故・立川談志に入門してから真打になるまでの修業時代を回想するエッセーの体裁で文芸誌に連載。
芸達者な落語家が慰みに書いたような文章とは次元が違っていた。
苦悩と歓喜、あきらめと自信が交錯する成長の物語を、手練れの作家が、
あてはまるべき言葉を細心に吟味しながら書き上げたような、極上の青春小説に仕上がっていたのだ。
2000年代後半の落語ブームのさなかに単行本が出ると
10万部を超えるベストセラーになり、出版界に落語家本ブームをひきおこした。
師匠は「修業は矛盾に耐えることなり」と言い放つ人だ。
破門におびえ、弟弟子を嫉妬する若者は、
不器用に芸の道をのたうちまわりながら、真打の風格を身につけていく。
「著者も周囲の人たちも破天荒。師匠の談志は逸話に事欠かない人でしたが、
その姿が敬愛の念をもって活写されている」と
高樋純子さん(有隣堂新百合ケ丘エルミロード店)はいう。
朝日新聞、6/6、保科龍朗
第24回(2008年) 講談社エッセイ賞受賞
TBSテレビでドラマ化の予定、(放送日未定)
主人公、立川談春役に嵐の二宮和也、談春の師匠・立川談志役にビートたけしが決定。
二ツ目も、真打も、落語のことをほとんど知らないわたしが、
立川談志という伝説の人の素顔を知りたくて手にとった一冊。
天才肌でピリピリした師匠を前にした緊張感が、こちらにまで伝わってきます。
切れ者で、短気で、ケチで、まっすぐで、、、
そんな師匠を囲む若者たちの汗と涙と笑いの青春記。
以下に、心に残った一文を転記します、、、
「これはオレ(談志)の趣味だがお辞儀は丁寧にしろよ。きちんと頭を下げろ。
・・・
お辞儀が終わったら、しっかり正面を見据えろ。焦っていきなり話し出すことはない。
堂々と見ろ。それが出来ない奴を正面が切れないと云うんだ。正面が切れない芸人にはなるな。
・・・
大きな声でしゃべれ。加減がわからないのなら怒鳴れ。
怒鳴ってもメロディが崩れないように話せれば立派なもんだ。そうなるまで稽古をしろ。
俺がしゃべった通りに、そっくりそのまま覚えてこい。物真似でかまわん。
それができる奴をとりあえず芸の質が良いと云うんだ」
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