ローレン・ バコール著 ”私一人” ☆
1979年に発刊された自伝『ローレン・ バコール/私一人』はベスト・セラーに。
貧しいユダヤ人少女がボギーや多くのすばらしい人物との出会いで人生に目ざめ、
大女優に成長する一生を綴る、1980年全米図書賞受賞の自伝。
ローレン・バコール、
彼女の映画を、私は観たことがない、多分、、、
この印象的な射るような眼差しが、じつは、、、
わたしの手は震えていた――首も震えていた――たばこも震えていた。
・・・
わたしは、首の震えを防ぐひとつの方法は顎をほとんど胸に付けるくらい引いて、顔をさげたまま、
目だけをボガードに向け、上目づかいで見上げるようにすることだということに気づいた。
これがうまくいった。のちにわたしにつけられた “まなざし(ザ・ルック)”という呼び名のもとになった、
これがそもそもの始まりだった。
図書館で借りた本を手にとったとき、二段組みの、しかも小さな活字に心が萎えました。
昼間はまだしも、あたりが暗くなると、シニアグラスなしでは、とても読めない。
ちょうど、あれやこれやと忙しなかったこともあり、
貸出し期間の二週間で半分しか読めなくて、
それでもまた予約を入れ、そこまでして読了した、そのわけは、、、
ハリウッド、洋画には、不案内なわたしでもその名をよく知っている、
マリリン・モンロー、ケイリー・グラント、ケネディ、
ヴィヴィアンリー、ローレンス・オリヴィエ、クラーク・ゲーブル、
レナード・バーンスタイン、キャサリン・ヘプバーン、スペンサー・トレイシー、、、
次から次へと、ひっきりなしに現れる、大物監督、俳優、小説家、音楽家、政治家、、、
彼らの孤独な、あるいは、剽軽な、計算高かったり、素朴だったりと、意外な一面に飽きることなく、、、
スクリーンのイメージとは真逆な、純朴で俗物の彼女、
なかなか芽の出なかった、不遇のモデル時代を経て、一転してスター街道をひた走り、
ハンフリー・ボガートという、最良のパートナーを得て、
人生で最高に幸せな10年間を過ごす。
そして、息詰まるばかりの凄絶な、ボギーの死、、、
やがて、フランク・シナトラとの恋と別れ、、、
とんでもない、彼の素顔に驚き、あきれ、、、
そして、、、
これだけの長編でありながらまったく飽きさせることの無い、第一級の自伝。
洋画通のお方なら、さらに興味深いこと請け合いの、
★★★★☆
以下に本文より一部転記します、、、
もう二度と同じ間違いをしてはならないと心に誓った。
しかしひとつ分かったことは、それこそ人間の面白い所でもあり驚くべきところなのでもあるのだが、
過去の経験からひとは何も本当には学べないということだ。
もう二度と火傷はしたくない、してはならないということは、頭のなかではよくわかっているのだ。
しかし、気持ちの上ではわかっていない
――時間とともに過去の苦い体験はいつか忘れ去られていくのである。
愚かなせいなのか、ロマンチックで夢見がちな甘い感傷から抜けきれないせいなのか、
わたしはこう考えずにはいられなかった――
「角を曲がれば何かがあるかもしれないじゃないの。だって本当に何かがあったのだもの。
少なくとも一度は、――いや、二度も。だからまた何かがあるのかもしれない」と。
また気を取り直して、新たな出会いに向かう気構えはできていた――
一秒たりとも、無駄にはしたくなかった。
待つことは相変わらずわたしの得手ではなかった。
« Hikaru Private Cooking Class < 1月 > | トップページ | 古いズボンで、椅子カバー♪ »
「読書(た~わ)」カテゴリの記事
- 林真理子著 ”小説8050 ” ★(2023.03.05)
- ひろゆき著 ”1%の努力” ☆(2023.01.27)
- 宮本輝著 ”流転の海 第七部~第九部” ★(2023.01.17)
- 奥田 陸著 ”ネバーランド” ☆(2022.10.18)
- 西村ゆか+wako ”だんな様はひろゆき” (2022.10.05)
« Hikaru Private Cooking Class < 1月 > | トップページ | 古いズボンで、椅子カバー♪ »
コメント