中坊公平著 “金ではなく鉄として” ★
尊敬してやまない、中坊公平氏のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
虚弱で人付き合いも下手で、どうしようもない劣等生であった、中坊氏が、
森永ヒ素ミルク事件で、赤ちゃんの代理人として堂々と巨大企業と渡り合うようになったのは、
ほかでもなく、まさにそのご自身の弱さが、氏をつき動かす源になっていたのでした、、、
★★★★★
以下に本文より、、、
小さな頃あまりにも勉強ができない中坊氏をみかねた担任が、
勉強をみてくれるようお父上に進言した時のこと、
お父上は、、、
「残念ながらウチの子は「金」ではない。勉強でもほかのことでも人より劣る。
それでも、親が見てやれば、一応の格好はつけられるだろう。
でも、それは鉄に金メッキするようなものだ。
メッキはいずれ、はがれる時がくる。それこそ本当に当人にとって悲劇だ。
それより、鉄は鉄として、メッキせずにどう生きていけるのか、それをもがいて探させた方がいい。
今は当人にとってキツくても、
人生の出発点にこそ、自分はしょせん鉄なんだと、身に染みてわからせた方がいいー」と。
長じて、中坊氏は弁護士としての道を歩み始めます。そんなとき、
森永ヒ素ミルク中毒事件の事件発生から既に18年の歳月が流れていましたが、
脳性マヒ、知恵遅れ、視力・聴力障害、皮膚障害、低身長など、
多種多様な後遺症を負った患者が多く苦しんでいることが分かりました。
「良かれと願って飲ませた母たちは、18年の後も自分をムチ打ち続けていた」のでした、、、
森永と国を訴える弁護団長の依頼が来た時のこと、
当時遊びまわっていた氏は断る口実として、父親の言質を利用しようと考え、
お父上にこの話を持ちかけたのです。すると、お父上は、、、
「公平。お父ちゃんは、お前をこんなに情けない子に育てた覚えはないぞ。
何でそんなことを、くよくよ相談に来た。
そもそも、子どもに対する犯罪に右も左もあるか。
お前は出来の悪い子やった。なるほど今は自分で食えるようにはなった。
けどお前、これまで一度でも人様のお役に立ったことがあるか。
そんなお前でもご用とあれば、ありがたく働かせてもらうのが当たり前や。」
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