和裁の道具、其ノ三
®
森永先生の和裁教室 では、お稽古の初めと終わりに、針の数を数えることを、先ず教わりました。
亡くなった祖母が、針を見失ったときに、唱えるおまじないがありました。
「清水の音羽の滝は尽きるとも失せたる針の出でぬことなし」
針の怖さを知っていた祖母は、見つかるまで何度も何度も唱えていました。
門前の小僧で、わたしもいつの間にか、覚えてしまいました。
写真の、白と黒の小さな布は、袖下などに入れる、力布です。
黒いのは、先生がご自分で染められたのを分けて下さったのです。
そして、、、

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しつけ糸です、
こんなふうに余り布で包んでおくと、絡まないし、汚れません、(^-^)v
こんなふうに余り布で包んでおくと、絡まないし、汚れません、(^-^)v
尺指しです。二尺と一尺を使います。
これは、母が若い頃使っていた品で、裏に母の旧姓が記してあります。
五寸に短く切ってあって、細かいところを計るときに重宝しました。
お袖の丸みを縫うときの型紙です。
若い人は、一寸の丸、年配者は、小さいほうを使います。
先生が縫われたお袖の丸みは、完璧なアールを描いていて、それは、それは、美しいのでした。
この道一筋の、先生のその一挙一動を息を止めて見つめていました。
流れるようなリズミカルな動きは、とても美しく見応えがありました。
そして、先生が縫ってくださったのを見本に反対のお袖の丸を、
すっかりコピーしようと、肩に力が入るわたしでした。
そんなわたしに先生は、
「ご自分の思うとおりにしようとしたら、だめなのよ、
布の言うとおりにすればいいのよ、逆らわないで、、、
よく聞いてごらんなさい、こうしてくれって、布(きれ)が言うからそのとおりにすればいいのよ」
・・・そんなこと言われても、キレは、なんにも言ってはくれません、、、
途方にくれるばかりでした・・・
けれども、時間がたってみると、
それって、子育てにも、料理にも、すべてに言えてるな~、、、と、
先生のお言葉が、身に染みるのでありました、、、
®2006年にもアップしたことのあるリユース記事でした、、、
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このシリーズを楽しみに待っておりました。
お師匠様は、物事の道理を、お裁縫と共に教えてくださっていたのですね。
修身とか情操教育について考えてみる必要を、しみじみ感じました。
投稿: junko73oz | 2006年11月 2日 (木) 18:12
★junkoさん、いつもコメントありがとうございます♪
まだ子供のようなお年から、ひとつの道に精進なさった方のお言葉は、
まったく説教臭くなく、すっと心にしみてきます・・・
junkoさんのコメントも、いっそううれしく思いました、(^-^)
投稿: こつ | 2006年11月 2日 (木) 23:22
目を閉じると、在りし日の母の姿が鮮明に甦って来ます。母は
私を「園さん」と呼び、人には「家の娘」と言い、一人息子の嫁の私を28年間一度も「嫁が」と言いませんでした。
いつも楽しそうに仕事をして、17歳から87歳まで70年間
和裁の仕事をし続けた母は、若き日に生涯の仕事に巡り会った幸せな人でした。そして努力の人でした。私はいい人に出会えてよかったと神様に感謝しています。
投稿: 園 | 2006年11月 5日 (日) 22:38
★園さん、コメントありがとうございます、ヽ(^o^)丿
きりりとした先生と、のんびりしていつも朗らかな園さんの組み合わせは、
とても気持がよくて、居心地抜群でした・・・
森永先生にお世話になった数年間は、わたしにとって、かけがえのない時間です。
園さんは、幸せな人だな~って、つくづくと思います、(^-^)
投稿: kinue | 2006年11月 6日 (月) 08:48
先生のお言葉 深いですね。
私にはちょっと耳に痛くて・・・・・ でも、大事なこと。
なんだか、学生時代を思い出して、運針をしたくなりました。うちのお裁縫箱はごちゃごちゃ片付いていないので、まずはお針を数えてみなければ。
投稿: まりこママ | 2011年9月30日 (金) 21:14
ひとつの道を精進なさった方のお言葉は、
、、、たしかに、深いです。
おいそがしいでしょうけれど、
お針を数えて、運針してみてください、
ふきんにざくざくと荒く運針するだけで、
今風のお洒落な一品になります~、(^_-)-☆
そのうえ心が静まって、やさしい気持ちになれますし、、、
(^-^)、(^-^)、(^-^)
投稿: きぬえ | 2011年10月 1日 (土) 08:34
ひとつひとつの小物、きぬえさんの言葉、先生のお教え
心に深く響きます。美しい!
深く慈しむ暮らしの技や心構えを磨かれてきた きぬえさん、
ますます眩しく遠い憧れの人になりま~す。
投稿: Tao | 2011年10月 1日 (土) 21:33
そ、そんな~、、、!
何をおっしゃいますやら、、、
わたしなんか、ドジでまぬけなヘンテコなおばさんです~、(^^ゞ
この和裁教室は、朝9時からお昼まで、週三回で
お月謝は、なんと、8千円!、
他の生徒さんは皆、夕方まででしたが、
丸一日コースでも、一万円!、
このお教室の先生こそ、眩しい遠い憧れのお方です~、(^-^)
投稿: きぬえ | 2011年10月 2日 (日) 09:24