角田光代著 "ツリーハウス” ☆
『内容紹介
西新宿の小さな中華料理屋「翡翠飯店」を巡る三代記。
祖父母、両親、無職の叔父、孫に加えて、
常に誰かしら出入りするゲストハウスさながらの大家族の足元には、
大陸帰りの物語が眠っていました。
祖父の死で虚脱してしまった気丈な祖母ヤエを伴った満州行が、
封印された過去への旅の幕開けとなります。
戦争、引揚げ、戦後を生き抜き、半世紀の間ヤエが抱えてきた思いを知った時、
私たちが失いつつある美しい何かが頁の向こうに立ち上がってきます。(OY)』
うらぶれた中華料理店に、ふらりと入ったとき、
思わず知らず、ヤエをさがしてしまいそうです。
、、、もしかして、ここにも、壮大な物語があるのかも、、、と
強くもなければ、立派でもない、
市井の人々の、地を這うような暮しが、読む者の魂を揺さぶります。
★★★★☆
以下、本文より、、、
そこにいるのがしんどいと思ったら逃げろ。逃げるのは悪いことじゃない。
逃げたことを自分でわかってれば、そう悪いことじゃない。
闘うばっかりがえらいんじゃない」
「どこかにいけば、おもしろいことが待ってると思っているんだろ、
ここじゃない、どこか遠くに行けば、
すごいことが待っているように思うんだろ、、、
でもね、どこにいったって、すごいことなんて待ってないんだ。
その先に進んでも、もっと先に進んでも、すごいことはない。
そうしてね、もう二度と同じところに帰ってこられない。
出ていく前のところには戻れないんだ。そのことをようく覚えておきな」
「どこかにいけば、おもしろいことが待ってると思っているんだろ、
ここじゃない、どこか遠くに行けば、
すごいことが待っているように思うんだろ、、、
でもね、どこにいったって、すごいことなんて待ってないんだ。
その先に進んでも、もっと先に進んでも、すごいことはない。
そうしてね、もう二度と同じところに帰ってこられない。
出ていく前のところには戻れないんだ。そのことをようく覚えておきな」
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