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2011年1月 9日 (日)

司馬遼太郎著 ”竜馬がゆく” ★

 

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  『内容
  
「薩長連合、大政奉還、あれァ、ぜんぶ 竜馬一人がやったことさ」と、勝海舟はいった。
  
坂本竜馬は幕末維新史上の奇蹟といわれる。
  
かれは土佐の郷士の次男坊にすぎず、
  
しかも浪人の身でありながら、この大動乱期に卓抜した仕事をなしえた。
  
竜馬の劇的な生涯を中心に、
  
同じ時代をひたむきに生きた若者たちを描く長篇小説。』




中学生のとき、今は亡き父の書架から借りて、
完全に圧倒され、夢中になって読んだ本。
ちょうどそのとき、現国で、今読んでいる本を持ってくるという宿題が出て、
この本を持参すると、森先生に、「お父様の本ね、、」と言われ、
なんで、分かるんだろうと、不思議に思ったものでした、、、
四十年を隔て、龍馬ブームで、再読しました。

この本は未読で、テレビで龍馬ファンになった方がいらしたら、
ぜひ、読んでみてください。
文春文庫で全八巻、、、情景が目の前にありありと浮かび上がる、
卓越した描写力ながら、平易な文章で、時の経つのを忘れさせてくれる、素晴らしい本です。
きっと、竜馬は、あなたの心に生涯住み続けることでしょう、、、

★★★★★
以下本文より、、、









三巻より、
弥太郎は、竜馬を、、、
(癪だが、おれより人間が上品だ。
 あいつが、おれに優っているところが、たった一つある。
 妙に、人間といういきものに心優しいということだ。
 将来、竜馬のその部分を慕って、万人が竜馬をおしたてるときが来るだろう。
 竜馬はきっと大仕事をやる。おれにはそれがない。
 しょせんは、おれは、一騎駆けの武者かとおもう。)


大名行列を見た弥太郎は、興奮している同僚とはべつに、ひややかにみていた。
(愚劣すぎる。幕府、諸大名の世がほろびるのは遠くはあるまい)
と、腹の底のふるえるような思いで、それを思った。
大名行列などは、江戸文化がつくりあげた珍妙きわまるものだが、
それを滑稽とみたのは、当時来航した外国人以外にはなかった。
たった一人日本人にもとめるとすれば、
この土佐の山奥から出てきた、弥太郎のほかにはいまい。



当時、世界の有力国の新聞で、ローニン、という日本語がナマでつかわれた。
サムライ、ハラキリといった言葉がいまなお世界語としてつかわれ、
日本人に対する一種の畏敬感、
ときに恐怖感をおこさせる印象をもたせたのは、このときからである。
この攘夷さわぎは、日本史にとってそれなりに無意味ではなかった。
 当時、同時期に、隣国のシナが、英国の武力を背景とした植民地政策のために、
国家の体をなさぬまでに料理され、
他方、ロシアも、領土的野心を露骨にみせはじめている。
もし攘夷的気概が天下に満ちなかったならば、
日本はどうなっていたかわからなかったであろう。
列強が、日本に対して、シナとはちがう扱いをしはじめたのは、
一つには、サムライとの陸戦をおそれた。
艦砲射撃ならべつとして、長期の陸戦には勝ち目はないとみた。
もっともこの日本観は、幕末だけでなく、すでに、それより三百年前の戦国初期、
鹿児島に上陸した最初の宣教師、聖フランシスコ・ザビエルが、おなじ観察をしている。
上陸後、すぐに、ゼスイット会に報告書を送り、
「非キリスト教国のうちいまだ日本人にまさる国民をみない。行儀よく温良である。
 が、十四歳より双刀を帯び、侮辱、軽蔑に対しては一切容赦せぬ」と書き、
また、日本征服の野望のあったスペイン王に忠告し、
「かれらはどんな強大な艦隊でも辟易せぬ。
 スペイン人を鏖(みなごろし)にせねばやめないだろう」
幕末にきた外国勢力も、おなじ実感をもったわけである。


五巻より
 竜馬は、その語録でいう。
 「気の弱さは善多く、気の強気は悪多し」
 「大奸智にして無欲のヒトを」
 竜馬は、にやにやわらった。
 「人間、不人気ではなにもできませんな。
  いかに正義を行おうと、ことごとく悪意にとられ、
  ついにはみずから事を捨てざるをえなくなります」












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