林兼正著”なぜ、横浜中華街に人が集まるのか”
[要旨]
全国各地で商店街が疲弊し、「シャッター通り商店街」は大都会の中にも広がっている。
そんな風潮をよそに、横浜中華街には、年間2300万人が全国各地から集まってくる。
これほど多くの人々を吸い寄せる魅力はどこにあるのだろうか。
著者は、横浜中華街の「町づくり」に30年以上携わってきた、横浜中華街発展会協同組合の理事長。
老舗の名店「萬珍樓」の社長でもある。
「あそこに行けば何かがある」と思わせる町をどう作っていったのか。
成功した「町づくり」の影には、「町は経営で再生する」という強い信念と秘策があった。
初めて中華街に行ったのは、ロケのあと、お昼を食べに行ったときでした。
一歩、足を踏み入れるなり、度肝を抜かれてしばし立ち尽くしてしまいました。
・・・なに、ここ?、なんなの?、ここ、日本?、、、
それ以来、わたしは、横浜中華街が大好きです、、、
いつ行っても賑わっているのは、中華街という特殊性の成せる業で、
恵まれているなあ、、、とただ、ぼんやりと思っていたのが、
萬珍楼という老舗のオーナーの書く、この本を読んで、
そんなわけはなかったのだ、つくづくと思い知らされました。
ここでしか生きられない、この町は、自分たちの最後の砦なのだと、
背水の陣で、不断の改革に臨む人たち、、、
南京町という名前のいわれから、始まり、
万一、鳥インフルエンザがこの横浜中華街で発生したとしたら、どうするか、
などという、危機管理まで、話は多岐にわたり、
ずば抜けた知性と気力を持ち合わせた著者のパワーに、ただ圧倒されました。
以下、本文より
萬珍楼はどんな味なのか、、、
もう少し、具体的にいえば、いわゆるグルタミン酸の入ったものを
召し上がっている方には、きっと、物足りない。
私は、素材の味を大切にする「薄味」が本当のおいしさだと思うから、
この線は崩さないつもりでいる。
父親にお玉で頭をカーンと殴られながら、
料理人修行をして、しっかりと鍛えられてきたのである。
ある時、父親に「お前なんか辞めてしまえ」と言われ、カーッとなった私は、
萬珍楼をやめて、東京・芝にあった高級料理店「留園」に入った。
ここでは、本当に勉強になった。
いまの世の中、どこへ行っても、あるいは誰と話してもすべて、
「損か、得か」という数値化経済に毒されてしまっているように見える。
・・・それらはすべて、十年後、二十年後、三十年後にも
この横浜中華街で生きていかなければならない子供や孫のためであり、
百年後の子孫のためだと強く思っているからなのだ。
いま、「損か、得か」を考えてばかりいたら、
何も生まれないし、何も続かないことは明らかだ。
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