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2010年2月 1日 (月)

カズオ イシグロ著 ”わたしを離さないで”




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あらすじ
 
自他共に認める優秀な介護人キャシー・Hは、提供者と呼ばれる人々を世話している。
 
キャシーが生まれ育った、施設ヘールシャムの仲間も提供者だ。
 
共に青春の日々を送り、かたい絆で結ばれた、親友のルースとトミーも彼女が介護した。
 
キャシーは病室のベッドに座り、
 
あるいは病院へ車を走らせながら、施設での奇妙な日々に思いをめぐらす。
 
図画工作に極端に力をいれた授業、毎週の健康診断、
 
保護官と呼ばれる教師たちの不思議な態度、
 
そして、キャシーと愛する人々がたどった数奇で皮肉な運命に……。
 
彼女の回想はヘールシャムの驚くべき真実を明かしていく。
 
英米で絶賛の嵐を巻き起こしたイシグロ文学の最高到達点。

村上春樹推薦、
 
脳科学者の茂木健一郎は書評で
 
「事態の全貌が明らかになった時、読者は血も凍るような恐怖感を覚えることになる。
 
 魂の奥底にまで届くような衝撃がある」



ahbon
さん、オススメの一冊、
 
もずさん曰く、"読み終わった後、しばらく動けませんでした・・・”、という、
 
衝撃の本ですが、、、わたしは、、、鈍いのか、よくわからなかった、、、です、、、
 
人々が絶賛しているのに、、、、わたしだけ、取り残されたような気分、、、

ただ、少年少女たちの揺れ動く友情、駆け引きを、仔細に映し出す筆力、
 
心の奥底にある、とらえどころのない何かをあぶりだす、
 
その冷静で精緻な観察眼に、ひたすら、感じ入りました、、、

★★★☆☆














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読書(あ~さ)」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。
カズオイシグロは独特の世界ですよね。
子供達の心が成長していじめが止む瞬間の描写などの観察眼と描写力、私も凄く印象に残ってます。イシグロ作品の中では「日の名残り」が★5つだったのですが、友人は★2つだそうでお薦めする自信はないのですが・・・^^
遅ればせながら今年もよろしくお願い致します。

きぬえさん、読まれたのですね~。
私はしばらく前の国会で法律が可決される時、ものすごく悩んでしまったし、何度も悪夢にうなされて目が覚めました。(ヘールシャムに生まれた赤ちゃんたちの泣き声を聞いて耳をふさいでいるところで目が覚めました。)内容の本筋とそれてしまうのですが、とりあえずその内容に関してとても考えさせてくれた本でした・・。
きぬえさんがおっしゃる「かけひき」はうちの夫も男の作家でこれだけ書ける人は少ないんじゃないかと申しておりました。

cuckooさん、
カズオイシグロは、これで、2冊目ですが、
ほんとうに、独特の世界です、、、
並外れた観察眼と描写力は、舌を巻くばかりです、、、
「日の名残り」も、機会があったら読んでみたいと思っております、(^-^)


もずさん、
世界には、そのために誘拐され殺される子供達が、
たくさんいるんだと聞き、戦慄を覚えました、、、
それを、必要とする人がいて、
でも、国内でその治療が受けられずに、手術の為、渡航するわたしたち日本人。
諸外国ではそんなお金持ちの日本人への反発がつのり、
イギリス、フランス、イタリアなどは、海外からの患者の受け入れを
10年位前からすでに止めており、いずれ、ドイツも、、、とも聞きました、、、
もずさん、この問題は、いったいどうなるんでしょうか、、、
どうしたら、いいんでしょうか、、、


なんの予備知識もなく姉に渡されたこの本
読む暇がなく、旅行先に持っていったの。
夜ホテルのベッドで読み始めて一気に読んでしまい
ました。 途中でもう私はへールシャムの仲間に
なってしまって自分や仲間の運命を信じたくない
気持ちなの。読み終わった後 悪夢の中を逃げのびて
来たのにまだ悪夢が終わっていなかったような気分、
仲間をおきざりにしてきてしまったような罪悪感に
おそわれました。 

おそらくこの本を読んでいなかったら、法案可決もそこまで考えずに「いいんじゃない?」くらいの気持ちだったと思うのですが・・・。どんなに細かい法整備を急いでも絶対に抜け道はあるでしょうし、科学が進歩したらヘールシャムは実在してしまうと思うのです。そんなに人間を信じていいのか?!と私なんかは思ってしまうのですが・・。難しいですが、「人類の叡智で良い方向に進んでいくことを祈る」という皇后様の言葉のようにヘールシャムが現実にならないことを、そういう目的で誘拐される子がいなくなることを祈り続けることしかできないのかもしれません。きぬえさんが書いてくださったレスを読んで考えた私の中での結論です。

ahbonさん、
著者の意図するところは何か、とか言う国語の問題みたいだけど、
それこそが、カズオイシグロの祈りだろうと私は思います。
暴走する科学と医療、、、
そこにひそむ恐ろしさを、彼は訴えたかったんじゃないかしら、、、と、、、
へールシャムの子供達と同じ思いを抱いた、ahbonさんは、
彼の願いそのものじゃないかしら、、とも、、、

もずさん、
おっしゃるとおりです、、、
立ち止まって、考えてみる、振り返ってみる、想像してみる、、、
人類の叡智を信じて、、、

お目にかかったこともないわたしたちが、、
こうして、お話しているのも、思いを共有できるのも、
カズオイシグロのこの本のおかげです、、、
彼に、心からのエールを送ります、、、

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